患者の体内にメス破片残す 病院「逆ギレ」医の倫理どこへ

2012/09/14
更新: 2012/09/14

【大紀元日本9月14日】中国の医療現場においては、昨今さまざまな問題が取りざたされているが、中でも医療関係者の倫理の欠落が顕著な問題になっている。

そのような中、大学付属病院で行われた開腹手術の際に、破損したメスの破片を患者の体内に残したまま手術を終了するという医療事故が起きた。メスの破片は見つからず、まだ患者の体内に。抗議する患者側に対して病院側は、誠意を示すどころか、「何十万元もする高価なメスをだめにされて、こっちこそ大損だ」と暴言を吐く逆ギレ状態。このことが伝えられて以来、インターネット上には、医の倫理を失った中国の医療の現状を批判するコメントが相次いでいる。

8月17日の昼ごろ、患者の楊さん(女性)は中国河北省保定市にある河北大学付属病院の手術室に入った。予定終了時間の3時ごろ、部屋の外にいた楊さんの夫が執刀医(女医)に呼ばれた。執刀医は夫に「手術後に用具を洗浄していたところ、使用したメスの一部が破損していたのを発見した」と告げた。その言葉は、メスの破片が楊さんの体内に残っていることを意味していた。

それからさらに5時間をかけて、執刀医は楊さんの体内に残されたメスの破片を捜したが、ついに見つけることができなかった。

「メスの破片が私のお腹に残っているなんて、危ないじゃないの」と問い詰める楊さんに対して、執刀医は謝罪する様子もなく、「あんた、そんなこと言ったって、ちゃんと生きているじゃないの。それより、あのメスがいくらすると思っているの。何十万元もするのよ。こっちこそ大損だわ」と暴言を吐いた。

その後、医療被害を受けた患者側と病院側との間で、数度にわたる交渉が行われた。病院側は3万元(約36万円)の賠償金を提示して全て済ませようとしたが、楊さん夫妻はこれに納得していない。

患者の体内にメスの破片が残されたことについて、同じ病院の婦人科の張恵医師は「何の問題もない。もし患者に不具合が出たとしても、それ(メスの破片)とは関係ない」と述べ、病院として全く責任を負わない態度をみせた。また、このような事故は患者に伝える必要もないとの意見を示した。

このことが伝えられて以来、中国のインターネット上には、「今の医師には、もはや医徳というものはないのか」「患者が医者に紅包(袖の下)を渡さないと、こんなひどい仕打ちに遭うのだろう」など、倫理も使命感も失った中国の医療現場を批判するコメントが相次いでいる。

 (翻訳編集・牧聡士)