【大紀元日本7月26日】「先日の豪雨で死亡した人数の情報が入った。あまりの驚きで言葉が出ない。私の想像、理性を超えている。政府は一両日内、数字を公表するだろうが、私にはその数字を話す勇気がない」
大手ポータルサイト捜狐(SOHU)のCTO(最高技術責任者)王小川氏は自身のミニブログでこう書き込んだ。さらに、「首都北京で降った大雨だけなのに、これほどの被害が出るとは。苦難に満ちた民族だ」と続いた。この書き込みはまもなく削除された。
北京に甚大な被害をもたらした7月21日の豪雨。政府は死者37人、被災者190万人と発表したが、その後、数字が更新されていないことから、市民からの不信が高まっている。インターネットでは、死者が1000人規模に達しているとの憶測が飛び交っている。
一方、25日に北京市長、副市長の突然の辞任が発表された。災害で市責任者の辞任まで発展するのは極めて異例で、今後の政局に影響を及ぼす可能性が出ている。
死者は1000人以上?
海外華字ニュースサイトはネット利用者(ID:栄栄田)の情報を引用し、特に甚大な被害を受けた同市房山区では、100台あまりの自動車が引き上げられ、市バスも含まれており、1000人以上が死亡した。多くはバスに閉じ込められたまま亡くなったと伝えた。もう一人のネット利用者(ID:NUSKIN LI)によると、同市豊台区南崗洼だけで200人の遺体を収容したという。
さらに、政府が37人死亡と発表した3日後、父親の遺体を発見したとあるネット利用者の書き込みもあった。
いずれもネット情報ではあるが、死者が37人を超えるのはほぼ間違いがない。北京政府は24日、「情報隠蔽をしない」と表明し、「現在、遺体の身元を確認中」としている。
しかし、市民らは市の対応に強い不信感を抱いている。米VOAの取材に対し、北京市民の胡佳さんは「身元確認と死者数の発表は別々の問題であり、身元確認できなかったからといって、死者数に入れないとでも言いたいのか」と疑問を呈している。あるネット利用者は「情報操作の時間稼ぎだ」と市の言い分を一蹴した。
市長らが異例のスピードで辞任
豪雨が発生した4日後の25日、北京市政府は郭金龍市長と吉林副市長の辞任を発表した。辞任の理由について言及されていない。
郭金龍氏は、2008年から北京市市長を務めており、今月3日、首都の北京市トップ共産党委員会書記に選出されたばかり。胡錦涛国家主席との関係が深いとされ、今秋の党大会で政治局入りが確実視されている。
市長の職を辞任したものの、市トップの座に留まっている郭氏は問責され、完全失脚する可能性もあると専門家は見ている。江沢民派の牙城だった北京市を奪還したばかりの胡錦濤主席にとって、腹心の辞任は重大な打撃となることは間違いがない。