なんとしても恩人に会って感謝の意を伝えたい、と語る、一命を取り留めた賀さん(ネット写真)
【大紀元日本6月12日】最近、広州市で感動的な話が伝えられた。高額な医療費が払えないため病院で診てもらえず、路上に倒れ込んだ急病人の出稼ぎ労働者を、通行人が入院させ、手術費用などの全額を負担した。この話は中国で感動を呼ぶと同時に、弱者は治療を受けにくいという医療制度への不満と疑問を巻き起こしている。
北京メディア「京華時報」9日の報道によると、広州市に出稼ぎにきた賀小平さんは5日午後、突然激しい腹痛に襲われた。約2年前から、腹部の痛みを感じていたが、高額な医療費を負担できないため診察を受けずにいた。
今回の激痛で、すぐに近くの医院で診察を受けると、急性盲腸炎と診断され、さらに緊急手術が必要と医者から告げられた。しかし費用は6~7千元(約8~9万円)。彼の所持金は1000元しかなく、970元で点滴を受け、病院を去った。
病院を出てまもなく、激しい痛みが再び襲ってきた。知人が110番通報し警察官がやってきたが相手にしてもらえなかった。救急救命の120番に電話し、救急車がきたが、担当する病院の患者ではないとして、搬送を拒否された。
「そのとき、自分は死を覚悟した」と賀さんは言う。
絶望に陥った賀さんに通りかかった一人の男性が助けの手を差し伸べた。医療費用を負担すると申し出た。激痛で失神寸前の賀さんは男性のことを「30代で、身長は170センチ以上だろう。半袖の白いワイシャツ姿で、メガネをかけている。話し方から地元の人だと思う」ということしか覚えていない。
病院到着後、すぐに手術が行われた。病院側の話によると、男性はクレジットカードで8千元の前金を支払い、金がなくなれば、連絡するようにと病院側に電話番号を伝えたが、「番号を誰にも教えないように」と念を押されたという。
術後の経過は良好で、賀さんは数日内に退院できるという。一命を取り留めた賀さんは、命の恩人を探し出し、感謝の意を伝えたいと願っている。
この「心温まる感動話」は、「病院の冷たさ」を垣間見る出来事でもある。インターネットでは「賀さんは幸運だとしか言いようがない。こういう幸運な人はどこにもいるわけではない。お金がないから病院に診てもらえないという医療制度を改めるべきだ」などのコメントが相次ぎ、議論が起こっている。
他にも「救急車が派遣先の病院の患者ではないという理由で搬送を拒否するのは筋違いではないか」「点滴だけで970元もかかった。『就医難』(医療を受ける難しさ)そのものだ」などの声が寄せられている。
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