万里の長城、鉱石採掘で崩壊 多くの区間で8割が廃墟化

2011/10/25
更新: 2011/10/25

【大紀元日本10月25日】鉱石の採掘による万里の長城破壊が深刻化している。多くの箇所で崩壊しており、完全に途切れた場所も確認されている。歴史の変遷を生き抜いた万里の長城は、利益至上の人々と政府の無策により、傷だらけになっている。

国営新華社の報道によると、明代に作られた長城で、最も雄々しい河北省莱源県内の部分は、最近、付近での鉱石採掘のため、ほぼ崩壊状態にある。県内の長城周辺では、鉄や銅の小型採掘所は十数カ所に上り、最も近いところは、長城から100メートルも離れていない。

河北省の他の場所でも長城の破壊は深刻だ。省当局の調査によれば、省内長城の8割以上は保護が行き届いていないか、すでに途切れてしまっている。7割近い烽火台は崩壊している。

河北省にとどまらず、他の省でも破損が目立っている。米VOAの報道によると、内モンゴル自治区のフフホト市北部の秦漢代長城ではこのほど、業者が採掘ドリルを直接長城にあてがい、鉱石を目当てに長城の基礎の部分まで掘り下げ、ぽっかり大きな穴が開いているという。

フフホト市清水河県内の明代の長城も昨年、野蛮な掘り起こしに遭っている。採掘業者が大型機械を用いて長城を直接掘り壊した。基礎部はひどく破壊され、城壁がぐらつく区間も確認された。被害面積は1000平米に達したという。

英紙デイリー・テレグラフは、多くの区間で8割が廃墟化している長城の現状を指摘する。匈奴やモンゴル遊牧民などの侵入を防御するために作られた長城は、度重なる歴史の洗礼に耐えてきた。しかし、現在、無謀な採掘と政府の無策に蝕まれていると評した。

この現状について、中国長城学会の董耀会・副会長は、鉱業採掘は国土資源局の事業で、長城の保護は文物保護局の責務だと説明する。採掘業者に採掘許可書があれば、その採掘は合法となり、文物保護局には採掘を止める力はないという。

「2006年に長城保護の法規が制定されているが、長城が長いため、実施は難しい」。有名な区間は広く知られているが、その他の部分は認知度が低いため、地方政府の保護意識が薄い、と董氏は破壊の原因を語った。

(翻訳編集・張凛音)