【大紀元日本9月26日】「世界の工場」心臓部の広東省では激しい官民衝突が絶えない。省南部にある陸豊市では21日から24日、村民らが地元官庁ビル前で連日抗議を行い、官民衝突が発生した。原因は地元政府関係者が村民らの農地を無断で売却し、巨額を私物化したからだという。
香港紙・明報によると、数年前に陸豊市烏坎村政府関係者が民間業者と癒着し、村民らの農地約213ヘクタールを無断で売却して、人民元7億元(約84億円)を着服した。売却された農地で住宅建設が着工されたことを知った村民らは21日、現場に駆け付け横断幕を広げ、建設をやめさせる抗議を行った。村民らはさらに市政府ビル前までデモ行進し、大通りの交通を遮断するなど大規模な抗議に発展した。これに対して、当局は機動隊を出動させ、村民らを現場から強制的に追い払い、一時沈静化した。
しかし翌日、機動隊が子どもを死亡させたとの噂が流れ、怒った村民が警察署に押し込み、警察車両6台を横転させた。また約10人の警察官が村民らの投げた石で怪我をしたと伝えられており、村民4人が拘束されたという。一方、陸豊市警察は子どもが死亡した噂は事実ではないと説明している。
抗議は24日まで続いた。今回の抗議参加者の人数について、当局は約200人だと報じているが、香港紙・サウスチャイナ・モーニング・ポストは23日、目撃者の話として、抗議する民衆は数千人に達したと伝えている。
連日の抗議は地元政府が村民に調査を約束することで収束した。南方日報によれば、同烏坎村の農地売却状況の公開、村幹部選挙の公開、財務状況の公開といった村民による3つの要求に地元政府は26日から着手すると約束した。一方、村民に対しては、絶対に「過激な行動」を行わないよう釘を刺したという。
中国では、経済発展に伴い土地の需要も高まることから、政府関係者が農地を横取りすることは地方で多発している。今回陸豊市で行われた農地売買も村民の同意を得ていない状況下で起きている。また、同市ではすでに320ヘクタールの農地が工業団地の建設などに使われており、村民がもらった補償は「1ムー(667平米)あたりベッド1つも買えない金だ」という。
「世界の工場」の心臓部と呼ばれる広東省は出稼ぎ労働者数千万人が集まる町でもある。最近では労使問題や差別をめぐる暴力衝突も多発している。今年6月、同省潮州市で賃金不払い問題をめぐった傷害事件が発端で出稼ぎ労働者約1万人が参加する抗議活動が発生している。また同じ月に、同省新塘鎮で出稼ぎの妊婦が治安隊に暴力を振るわれたことから大規模の衝突事件に発展した。
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