六価クロム不法投棄の村 多くの村民がガンで死亡=雲南省

2011/08/22
更新: 2011/08/22

【大紀元日本8月22日】先日、猛毒六価クロムの不法投棄問題が伝えられた雲南省曲靖市陸良県の興隆村では、近年多くの村民がガンにより死亡している。「ガン村」となった村の住民らは長期にわたり化学工場などからの汚染物質により苦しんでいる。

化学工場が廃棄する猛毒六価クロム

問題が起きているのは興隆村付近を流れる南盤江だ。南盤江は、珠江のもっとも大きな支流となる西江に流れ込む。付近には、六価クロムを大量に不法投棄したと報じられている和平化学工場のほかにも製紙、化学肥料、亜鉛などの工場が存在する。ここ数年、村の水源は使用できず作物も育たなくなっているうえ、この村で死亡した人の30%の死因は、ガンであったという。

地元紙「瀟湘晨報」が問題の和平化学工場を取材した。山のように積まれた六価クロム廃物と南盤江の間は、わずか1メートルほどの高さのレンガで造られた塀で隔てられているだけだ。社長の湯再楊氏の話によると、03年に同工場を買い取った時、すでにクロム廃物は28.84万トン存在し、従業員らも10年以上は放置されていることを知っているという。同工場が生産を開始した1989年からと考えると、クロム廃物は22年もの間、南盤江の傍に捨て続けられていることになる。

化学工場が建てられる前、近くの池の水は底が見えるほど清らかだったことを覚えていると、ある村民は記者に語った。「しかし今は全て、黄色く汚れてしまった」

現地の興隆村の汚染問題は、皆が知っている。村民は出来た作物を売る時、買い手に別の村の名前を言うそうだ。

また、09年10月に南盤江の雷打灘ダムで突然569トンの魚が死亡。12軒の養殖業者が大きな損失を被った。翌年6月に20トンの稚魚を投入したが、再び大量死したなど、メディアは何度も南盤江の汚染事件を取り上げている。

 環境局は調査後、汚染なしと回答

「瀟湘晨報」記者が取材した同村村民小グループ長の王さんによると、1999年から工場周辺の畑では収穫がなくなったという。「(工場から)出される蒸気は黒かったり白かったりする。通常は夜に排気している」。直接工場と話し合いが出来ない王さんらは政府に訴えた。副県長や県の委員会書記にも会い、環境保護局との話し合いもしたが、当局は調査後に汚染なしと回答した。何度訴えても環境保護局は汚染なしと回答すると王さんは言う。王さんの弟もガンを患っている。

04年から09年まで、和平化学工場は興隆村に毎年14.5万元(約175万円)の賠償金を支払っていた。2010年には、賠償金額は15.2万元に引き上げられたが、この金額はあまりに低く、1畝(667平米)あたり200元(2400円)ほどにしかならないうえ、少し収穫のある土地は30%しか支払われない。「汚染された土地は数年間回復しないのに」と王さんは訴える。

がんを患う父を持つ王楼先さんによると、現在、村民はミネラルウォーターを飲用している。だが、煮炊きにはやはり汚染された井戸水を使っているのが現状だと話す。08年、一家には工場から8000元(9万6000円)あまりの賠償金が支払われ、翌年も一部が支払われた。その際、環境保護局の幹部は、賠償金を支払ったのだから追求するな、と言い放ったという。

興隆村の村民らは、この村ではクロム汚染により06年以来すでに37人がガンで死亡しており、今も多くのガン患者がいると話している。しかし、同村を管轄する曲靖市陸良県衛生局が提供した調査報告によると、02年から10年の間に県クラスあるいはそれ以上の病院でガンと診断された興隆村の村民は14人。うち11人はすでに死亡しており、この中で最年少の9歳の児童は09年に白血病で死亡している。

ガンを患う黄さん(仮名)の息子は問題の工場の従業員だ。工場に長くいるとガンになるから行かないようにと話しているが、息子には大学に通う娘がおり、工場の生産が停止しているにもかかわらず、今でも出勤しクロム廃物場でレンガを積んでいるという。

(翻訳編集・坂本)