猛毒の六価クロム5000トン不法投棄 珠江も汚染か

2011/08/15
更新: 2011/08/15

【大紀元日本8月15日】先日、雲南省曲靖市のダム周辺に、猛毒とされる六価クロム5000トンが不法廃棄され、ダムが深刻に汚染される事件が起きた。中国国内メディアによると、この汚水は河川へ流されており、下流の珠江の水質汚染も懸念されている。

地元紙・雲南信息報によると、曲靖市にある和平化学工場が同市越州鎮の叉沖ダム周辺に5000トンの六価クロム廃物を廃棄し、雨によりダムに流れこんだ。それにより、ダム水中の六価クロム量は基準値の2000倍になり、ダムの魚は全て死に、汚水を飲んだ家畜も死に、水は飲用出来ない状況であると伝えられている。

さらに、情報を知った当局はダムの汚水を処理し、処理後の汚水30万立方メートルを、パイプを通して珠江の上流となる南盤江に流したとも報じられている。

雲南信息報のこの報道は後にネット上から削除された。同省環境保護庁は13日、外部メディアに対し、不法廃棄がされた現場がダムであることを否定し、南盤江の水質も正常であると発表した。

一方、昆明作家協会の理事である董如彬氏がミニブログで、2か月前に同ダムにクロム廃物を不正に廃棄している人物を目撃したことを明らかにした。同氏の現地調査によると、和平化学工場のある興隆村は、元は良質の米、家畜、果物が生産されていたが、今ではその生産量は著しく落ちたうえ、汚染のため売れなくなってしまった。村人でさえ村で生産したものを食べる勇気はないという。村民らは、この村ではクロム汚染により06年以来すでに37人が癌で死亡しており、今も多くのがん患者がいると話している。

南盤江は曲靖市を通って黄泥河に入ったあと、珠江のもっとも大きな支流となる西江に流れる。事件が伝えられた後、下流の広東省のネットユーザーから憤慨の声、雲南省側の伝えた汚水処理について、さらには広州市水道水の水質に対する疑問の声が上がっている。

六価クロムとは酸化数が六のクロムを含む化合物の総称であり、クロム酸などのことをさす。酸化力や毒性が非常に強く、皮膚に触れると潰瘍を起こし、体内に入れば肝臓障害や肺がんなどを引き起こす。近年では人体影響を考慮し、使用規制されている。日本でも1973年、東京の地下鉄工事中に化学工場跡地から六価クロム化合物を含む鉱滓が発見され、土壌汚染問題が大きな社会問題となった。

(翻訳編集・坂本)