【大紀元日本6月11日】ハルビン市内にある大手製薬会社・ハルビン製薬から排出されている有毒ガスや廃水は、ここ数年、国が定める基準限度をはるかに超えている。工場周辺の硫化水素は基準値の1150倍、排水着色度は15倍であることが明らかになった。さらに、5年前から現地住民と地元メディアが汚染の実態を訴えつづけてきたにもかかわらず解決されなかったのは、背後に地元政府がからんだ「官民結託」があるからだと考えられている。
国内紙・南方週末7日付の報道によると、工場から排出されている硫化水素は基準値の1150倍、アンモニアは基準値の20倍で、周辺の住民は夏でもマスクが必需品となり、窓も開けられない状態だという。さらに、同工場はハルビン市の風上に位置するため、異臭被害は工場周辺に止まらず、少し離れた大学や病院及び住宅区にまで及んでいる。
問題は排気のみならず、工場から出る廃水は付近の川を黄色く染めた上に、鼻を刺激するような異臭を放っているという。汚染廃水は工場の主要製品であるペニシリン等の製造過程に排出されているものとみられ、その値は基準値を大幅に超えている。排水着色度は基準値の約15倍、水酸化アンモニアは2倍以上、COD(酸素消費量)は10倍にも上ったという。
一方、この工場による汚染問題は2007年にすでに始まっており、当時も住民の訴えを受けてハルビン市環境保護局がハルビン製薬に対して異臭汚染解決措置を講じるように通達した。さらに、2009年に地元メディアの黒龍江日報がこの汚染問題を取り上げ、追跡調査を行ったが、状況は一向に改善されなかった。
改善されなかった重要な原因として、国内紙・華商報は、地元政府部門と企業が繰り返し住民を騙してきたからだと分析した。異臭の訴えに対して、当局からは常に「基準を満たしている」の回答だった。また、工場側では異臭は稀に漏れたと主張するが、記者の調べによれば、異臭の漏えいに対する防御措置が工場に全くなかったという。
地元政府が住民をごまかしハルビン製薬を守ろうとしたのは、同社が地元税収へ大きく「貢献」しているからだと南方週末は指摘する。さらに環境保護当局や製薬監理当局も監督機能を果たしておらず、これらの「外部からの目」が欠如していたことから、ハルビン製薬と地元政府の「官民結託」が助長されたと分析する。
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