「従業員の50%が学生」 富士康に労働力搾取の疑い 政府が仲介か

2011/05/24
更新: 2011/05/24

【大紀元日本5月24日】13人の従業員による相次ぐ自殺で世間を騒がせ、20日には18人が死傷する爆発事故が発生。まさに不運が続くEMS世界最大手の台湾・鴻海精密工業の中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)だが、新たに職業訓練校から学生を不正に雇用する疑惑が浮上している。香港紙・リンゴ日報が報じた。

報道によると、北京大学や香港大学など中国国内、香港、台湾など大学20校の学者が3月~5月の間、インタビューとアンケートの調査方法に合わせ、従業員に扮して潜伏調査を敢行した。調査対象となったのは深セン市や南京市など7都市にある12の工場で、有効回答1736部を回収した。

調査結果は、フォックスコン工場の多くは学生を従業員として雇っており、工場によっては従業員の50%が学生であるという報告でまとめられた。「学生とは正式な雇用契約を交わすことも、社会保険を納入する必要もなく、多数の学生を安い労働力として酷使している」と指摘する。「長時間の労働で、作業の途中で倒れてしまった学生が多数存在する」との証言も入手している。

また、学生らは一日に14時間の長時間労働を強いられ、月給はわずか1000元(約1万3000円)で、通常の従業員の給与1590元(約2万670円)に比べ、かなり低い。勤務中に怪我を負っても、企業、政府、学校のいずれも責任を取らない。工場内に監視カメラが数多く設置され、刑務所さながらの監視システムが敷かれているという。

リンゴ日報の記事によると、フォックスコンは2009年、重慶市の職業訓練校200校以上と、労働力提供の契約を結んだ。「実習」の名目で学生を派遣し、専攻と関係のないねじ回しなどの作業に従事させている。「毎日、学生を乗せたバスがやってくる」という。

学生の不法雇用が最も深刻なのは成都市と重慶市だという。両市の政府はフォックスコンの求人数をノルマとして各下級政府に課し、達成度を幹部の業績査定の指標に用いている。給与も事前に1500元と約束しておきながら、工場での契約時には950元だと知らされる。本来企業が行う新入社員の健康診断も政府が公費で受け持ち、公用車で学生らを工場に送り届けているという。

2010年の相次ぐ従業員の自殺により、フォックスコンの過酷な労働条件が明るみに出て、話題となっていた。

(翻訳編集・高遠)