「でたらめなことばかり」 朱鎔基・前首相、清華大学で政治批判

2011/04/27
更新: 2011/04/27

【大紀元日本4月27日】中国の朱鎔基・前首相(83)は4月22日、母校である清華大学で学生らと懇談会を開いた。政権を引退してからの9年間、政治に関するコメントをいっさい避けてきた朱氏だが、その席で政治情勢を批判したほか、中国国営テレビCCTVのニュース番組を「でたらめなことばかり」と一蹴し、自らの経済政策を批判する禁書『中国農民調査』をも学生たちに寄贈した。

香港紙・明報によると、22日午前11時ごろ、朱氏はかつて学部長を務めていた清華大学経済管理学部を訪れた。国務委員の劉延東氏、教育部の袁貴仁・部長のほか、夫人と娘も同行した。

朱氏は同大学の図書館に、未出版の著書『朱鎔基談話実録』を贈った。副首相と首相を務めていた12年間の同氏の談話が収録されている。

朱氏によると、同著書には未公開の写真や直筆の書簡が多く含まれているが、正式出版するには、最高指導部の関連機関の審査を通らなければならない。朱氏は清華大学の学生らに対し、「現実の状況と照らして比較してみなさい。私が言ったことが本音かどうか、事実に基いていたかどうか、見てごらんなさい」と述べたという。

また、「毎日夕方7時からの30分間、必ず中央テレビ(CCTV)を見ている。彼らがまたどんなでたらめなことを言っているのかを見届けたいためだ」と朱氏はCCTVの報道の嘘を指摘した。この時間帯は、CCTVのもっとも主要なニュース番組が放送されている。

さらに朱氏はその席で、教育部が制定した中長期の計画は「空論ばかりである」と非難し、同行する教育部の部長が気まずそうにしていたという。

一方、中国当局に出版禁止とされた書籍『中国農民調査』を清華大学に寄付するとも表明した。同書は著者の陳桂棣さんと呉春桃さんが農民の現実生活への調査に基いて、地方政府の腐敗と農民の悲惨な生活状況を暴露した一冊である。2003年に初公開されたが、すぐに中国当局に出版禁止とされた。

朱氏は、この本がきっかけで、自ら遂行した税制改革の政策によって農民を貧困に陥らせたとして自身への批判が高まったと述べ、当時実行した税収政策の正当性を主張した。その上で、同書を寄贈する目的は、学生らに事実に照らして、本の内容の是非を判断してほしいからだ、と説明した。

朱鎔基氏は1991年に副首相に就任、翌年には中央政治局の常務委員に抜擢された。その翌年から、中央銀行である中国人民銀行の総裁を兼務し、中国経済の主導権を握った。1998年には首相に就任、2003年3月には任期満了を受けて政権から引退し、その後任は現職の温家宝首相。引退後、時事政治へのコメントはせず、公での露出は極めて少なかった。

(翻訳編集・叶子)
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