中国浙江省、村民の血中から鉛検出 電池工場が原因

2011/03/29
更新: 2011/03/29

【大紀元日本3月29日】浙江省の西部、東シナ海に面した台州市の農村で、村民の約半数の血液から標準値を超える濃度のが検出された。調査の結果、村内にある蓄電池工場から排出された廃水および廃気が、汚染の原因であると見られている。新華網が報じた。

村民の半数以上から異常値

台州市椒江区にある上陶村は、人口200人あまりの小さな村である。その上陶村で今年、村民の約半数の血液中から標準を超える濃度の鉛が検出された。

地元メディアによると、今年の旧正月の頃、同村の14カ月になる男児・豆豆(トゥトゥ)があまりにも泣き止まず、眠りもせず、また情緒的にも不安定であることに親が気づいた。病院での検査の結果、豆豆の血液中から通常の2倍の濃度の鉛が検出された。それ以外の項目について異常はなかった。

そこで多くの村民が、自分の子供についても病院で検査を受けさせたところ、14カ月から10数歳までの子供20数人の血液中の鉛濃度が、標準より高かったことが判明した。

3月上旬には、さらに多くの村民が自分の子供に検査を受けさせるとともに、大人たちも台州市内の病院を訪れて検査を受けた。上陶村の村民の9割に近い179人が検査を受けたが、そのうち約半数の105人の血液中から標準を超える値の鉛が検出された。

通常、血液1ℓ中の鉛の量は200マイクログラムが上限とされているが、最も値が高かった43歳の村民・陶華西さんは797マイクログラムと、上限の4倍に達していた。

3月22日までに、上陶村と付近の2村を併せて、検査を受けた村民は501人に上ったが、そのうち鉛の血中濃度に異常が見られたのが139人。そのうち35人が子供であった。

上陶村の村民・陶徳明さんは、「なぜだか分からないが身体に力が入らず、めまいや胸の不快感がある。夜中に突然興奮して起きてしまうこともある」と、身体の異常を訴える。検査の結果、陶徳明さんの鉛量は591マイクログラムだった。

中国農村の深刻な重金属汚染

村民は、上陶村にある蓄電池工場がその原因であると見ている。その工場は「台州市速起蓄電池有限公司」で、2003年に審査許可を取り、2005年から生産を開始したが、今年3月16日に閉鎖に追い込まれている。

このような重金属汚染の可能性がある施設は、少なくとも住民居住区から500メートル以上離れた場所に建てるよう規定されているが、この工場は、民家からわずか5メートルのところに建てられていた。

工場が閉鎖されてから数日経っても、まだ周囲には悪臭がたちこめている。地元メディアの記者が車で工場の区域を一周したが、車内にいても喉が痛み、呼吸が苦しくなるようであったという。

3月23日、地元政府の環境保全分局の蒋新才局長が記者会見し、調査結果を発表した。 

それによると、同工場が排出したガスからは通常の2倍、排水路の廃水からは4倍、付近の土壌からは2倍の鉛が、それぞれ検出されたという。

蒋新才局長は、同工場の地下の排水管にまだ有毒水が残っていると述べるとともに、「しばらくの間は、工場付近で収穫した野菜や穀類は食べないでほしい」と村民の注意を促した。

今や「世界の工場」と呼ばれる中国。その農村部にある中小規模の工場では、さまざまな工業製品や部品が、中国国内や海外に向けて大量に作られている。しかし、それらの工場から未処理のまま排出される廃水や有毒ガスなどが環境を汚染して、住民に健康被害が出るなど深刻な事態が中国各地で発生しているという。

(翻訳編集・牧)