全人代を控え 労働教養制度の撤廃要求への声高まる=中国

2011/02/22
更新: 2011/02/22

【大紀元日本2月22日】3月の「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議。日本の国会に相当)開催を控え、一部の学者らは労働教養制度の撤廃を求め、署名活動を展開している。米VOAが伝えた。

一部の学者、弁護士、市民活動家を発起人とする署名活動には、すでに1000人以上が賛同の署名を寄せている。集められた署名は全人代の常務委員会に郵送される予定だという。

現行の労働教養制度は行政処分であり、法的な手続きを経ずに、労働教養委員会の審査で最長4年の禁固刑を下すことができる。「便利な処罰手段」として乱用されていると専門家は指摘している。

「労働教養」される対象の多くは、政府に不満をもつ市民。強制立ち退き、幹部の汚職などの社会問題の深刻化により、「上訪」と呼ばれる直訴者が増加し、多くは「労働教養」に処されている。

毒ミルクで子供を失い、陳情しても問題解決されなかった重慶市奉節県の住民・唐琳さんは、2010年5月にインターネットで「俺は極端な道を選ぶかもしれない」と発言したことで、「社会秩序をかく乱した」として一年の労働教養を言い渡された。

市民活動家の程建萍さんは反日デモが起きた2010年10月、ツイッターで上海万博の日本館への抗議デモを呼び掛ける書き込みに対して「憤る若者たちよ、やっつけにいこう」とリツイートしたとして、1年の労働教養を処された。

入所者は重労働を課されるほか、度を超えた拷問を受けたり、死に至るケースが多発するため、これまでも「違憲」とされ、撤廃を求める声が絶えなかった。

中国司法部によると、2008年までに全国で350カ所の労働教養所が設置されており、16万人が入所しているという。同制度の1957年の実施以来、50年間で少なくとも400万人が労働教養に処された。

(翻訳編集・柳小明)