【大紀元日本10月28日】イラク高等法廷は26日、「シーア派政党の弾圧」に関与した罪で、タリク・アジズ元副首相に絞首刑の死刑判決を下した。イラク国家テレビが報じた。
フセイン元大統領が2006年11月に絞首刑で処刑されて以来、イラク高等法廷は、クルド人やシーア派への弾圧について、フセイン政権時代の高官を法廷審理してきた。
報道によると、アジズ元副首相は、フセイン政権時代、シーア派政党ダワ党への政治弾圧を発起したという理由で起訴されていた。現職のマーリキー首相はダワ党の最高幹部の一人である。フセイン政権時代の内政部長とフセインの秘書はすでに死刑を言い渡されている。シーア派はイスラム教の2大勢力の一つである。
アジズ被告は74歳、旧フセイン政権の重鎮で、副首相を務めていた。フセイン政権が2003年に崩壊した後、アジズ被告は駐イラク米軍に自ら投降。2009年、イラク法廷は「人道に対する罪」が成立するとして、禁固15年の刑が言い渡されていた。
アジズ被告側のバデー・イザット・アレフ弁護士は、今回の宣告は政治的意図が絡んでいるとAPの記者に語っている。同氏は、最近、イラクの治安部隊が囚人を虐待していたことが明るみに出たため、国民の気をそらすための処刑と説明。ワシントンポストが伝えている。
アジズ元副首相は、クリスチャンでもあり、2003年3月のイラク侵攻前にはローマ法王を訪れ、攻撃を阻止する最後の試みに出ていた。BBCの在バグダットの記者は、国民の中にサダム政権への憎しみはあるが、アジズ元副首相は、サダム政権の悪の巣の一員とはみられておらず、処刑反対の陳情の動きが起こる可能性もあると見ている。
息子のジアド・アジズ氏は、「父は政治家で、メディア担当でした。治安には携わっていません」と父親の無実を主張する。
また、ローマ法王も、21日、イラクに処刑を止めるよう促す声明を出している。
アジズ元副首相は今年8月イラクに監禁されてまもなく、英紙ガーディアンのインタビューに応えて、暴行と政治不安の中で軍隊を撤去する米国は「イラクを狼の餌食にする」と語っていた。
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