ノーベル平和賞、中国の反体制者に 「中国への挑戦」と各界が注目(修正再掲)

2010/10/08
更新: 2010/10/08

【大紀元日本10月8日】現地時間8日午前、ノルウェーのノーベル賞委員会は、2010年のノーベル平和賞を、言論のために罪を問われて今も服役中の中国の反体制者、劉暁波(Liu Xiaobo)氏(54)に授与すると発表した。同日の記者会見で、ヤーグラン委員長は、劉氏は中国で人権のために戦うシンボルであると授賞の理由について紹介した。

「中国は経済と政治とも大国となっているが、それに相応しい責任も負うべきである」、「多くの中国国民が中国の憲法で保障された自由を制限されている」と同委員長は述べた。

54歳の劉暁波氏は、中国の著名な反体制作家。1989年の天安門での民主活動に参加したため投獄された経験がある。昨年12月、中共当局に一党独裁の廃止を要求する活動に関わったため逮捕され、11年の懲罰を言い渡された。

先月、中国外務省はノーベル賞委員会に、劉氏へ平和賞を授与しないよう警告した。

ノーベル賞委員会の決定に、世界各界が注目を寄せている。

日本国内の報道によると、菅首相は8日夜、同委員会の劉氏への平和賞授与の決定は中国に人権問題の改善を促しているとの見方について、「そういうメッセージも込めて賞を出されたわけだから、そのことをしっかりと受け止めておきたい」と語った。

ドイツとフランスの首脳たちも、中国に劉氏の釈放を呼びかけている。

ノーベル平和賞受賞者で、ポーランド反共産党連帯労働組合運動の創始者、レフ・ワレサ氏は同日、メディアの取材に、ノーベル賞委員会の決定について、「中国と全世界への挑戦である」とコメントした。

中国当局は同決定について、「劉暁波は懲役刑を科された罪人である。このような人物に同賞を与えることは、ノーベル賞の原則に反する」と反発した。また、ノーベル賞委員会のあるノルウェーに対しても警告した。8日の時点、国内では関連の報道が一切見当たらず、劉氏の名前もネット上でフィルタリングされている。

一方、中国内外の中国人民主活動家の間では、今回のノーベル平和賞の中国人反体制者への授与は、中国の自由民主化運動に大きな影響を与えることになるとしながらも、同じく候補者として挙げられた服役中の人権弁護士・高智晟(Gao Zhisheng)氏や民主活動家の胡佳(Hu Jia)氏などのほうがもっと適任であるとの意見も出ている。

劉暁波氏は、89年の天安門での民主活動後、中共当局の圧力に妥協し、テレビで天安門民主デモ事件に否定的な発言をしたことや、近年中共当局に対してよりマイルドなスタンスを取っていることから、民主活動家の間では、劉氏に対して賛否両論の見方がある。

ドイツ在住の中国人民主活動家で全体主義研究者の仲維光(Zhong Weiguang)氏は、ノーベル平和賞の中国人反体制者への授与は、独裁に対する民主国家の断固とした態度表明であると見ている。「これまで、中共当局の経済買収手段によって、欧米国家は中国の人権問題に目をつぶってきている。今回、中国の反体制者に授与されたことによって、国際社会は中国問題に更なる注目をするようになる」

また、「ノーベル平和賞の中国人への授与は、89年の天安門事件における北京市民の努力や、その後の民主政党の設立、さらに99年に始まった中共の法輪功迫害に抵抗する法輪功学習者の平和運動、そして、現在中国国内で広まっている共産党離脱運動など、20年来の中国民衆の一連の努力による結果である。劉暁波さんが今後、多くの民主活動家と共に、共産党の独裁に対抗していくよう期待している」と同氏はコメントしている。

(翻訳編集・趙莫迦Zhao Mojia)