【大紀元日本8月9日】中国各地で行われている都市開発は、過度な資源の浪費を促しており、各地で高層ビルを競って建設しているため、価値ある伝統建築物や文化遺産が取壊されていると、国家文物局の単霽翔・局長がこのほど指摘した。中国国内メディアが伝えた。
「中国の文化遺産の保護は最も困難で、最も深刻、最も大事な時期に差し掛かっている」と単氏は指摘した。各地で行われている都市計画は無計画で、「建てたばかりの建物を取り壊す」「やたらと欧米風にしたがる」「中小都市はむやみに大都市を真似する」「建築物の歴史的価値を顧みず取り壊す」などと問題点が多いという。
同氏は特に伝統建築物の取り壊しに反対の姿勢を示した。「長い年月にわたって蓄積されてきた文化がそこにある。都市の歩みの記録として最も価値のある伝統建築物には、何世代もの暮らしが染み込んでおり、簡単に取り壊すべきではない」と指摘した。安易な取壊しよりも、後世のために保護と再生に努めなければならないと論じた。
中国国内メディアによると、過去30年間で、むやみな都市開発により取壊された遺跡は数万ケ所に上るという。北京だけで1990年以来、443万平方メートルの伝統家屋が取壊されており、北京の商業地の4割はその跡地に建てられている。600年の歴史を持つ北京の「鼓楼・鐘楼」地区も今、再開発の危機に直面している。
今年4月にも、中国の住宅都市・農村建設部のトップが、中国の建造物の寿命は25-30年しかないと発言している。イギリスの132年や米国の74年より、遥かに短いと指摘していた。
なお、英紙「ガーディアン」もこのほど、中国のむやみな建て替え、無計画な都市開発は資源の浪費をもたらしただけでなく、歴史ある中国の町並みを薄っぺらで、味気ないものにしていると苦言を呈していた。