【大紀元日本1月17日】長江水利網漢口水文所の観測によると、長江の水位は1月8日に13・98メートルを記録し、142年間で最も低くなった。低い水位がもたらした船舶の座礁事故が相次いで、航路運輸に深刻な影響を与えた。さらに、長江沿いに住む住民らも用水確保が困難な問題に直面しているのだ。
「長江商報」によると、長江の水不足から生じる汚染現象が深刻になり、野生のチョウザメなど長江に棲む希少水生動物の生存に対して、多くの専門家の強い関心が寄せられている。長江の渇水が原因で、洞庭湖の水位が再び下がり、水底の長期露呈によって、野ネズミの大量発生をもたらすと懸念している。
*100年来見ない渇水
水が豊富で有名な長江は、湖北省監利および湖南獄陽の2箇所を遠く隔てられており、大型船舶でなければ、対岸に渡ることはできなかったが、今では特に寒中水泳する人でも楽々と対岸まで泳いでいける。1月4日午後、長江監利江地区の農民・李長敏さんは干潮の後に岸沿いの荒地を耕していた。育てていたニンニクの芽は十数ミリにまで成長した。しかし、2ヶ月前に、ここは水に覆われていたのだ。
荒地の少し先にある長江地区で、座礁大事故が起きた。李さんは「数百隻の大型船が大渋滞し、数キロメートルまで列を作っていた。ここ数十年間で、こうした光景ははじめて見た」と語った。
*濱江県住民、用水難題に直面
一方、長江沿いにある人口20万人あまりの監利県は飲み水の困難に直面しているのだ。水道局はもはや20万人あまりの水道水の十分な供給ができなくなった。県内にある4階建て住宅の4階住民に対して正常な水供給はできなくなっているのだ。水道局は地元のメディアを通じて、住民らに対して断水の恐れがあるため、水道水を蓄えるように公告をしたほどだ。
水道局で水を汲み出す作業に40年間携わった従業員王さんによると、長江の渇水は今年がもっとも深刻であるという。また、2キロメートル離れた上流にある2隻の船(水を汲み出すためのポンプ船)はすでに座礁しており、従業員は、船が停泊している場所のもっとも浅いところは僅か0・6メートルしかないとし、揚水用ポンプのエンジンを全開すると砂だらけになることから、エンジンを弱めにしていると語った。
長江の渇水問題を克服するために、水道局は水の汲み出し方法を変えるなど、一連の措置を施したが、日増しに深刻になっている渇水には追いつかない現状だ。関係者は、1996年までに、長江の渇水期は毎年約3ヶ月だったが、現在では水を正常な状態で使用できる期間が3ヶ月しかないことになってしまったと明らかにした。
*「黄金の水道」、緊急態勢
これまでに長江の渇水期において、船舶の座礁事故もあったが、昨年末は特に顕著だった。長江航路局の統計によると、昨年10月以降、長江の主要水道ですでに40以上の座礁事故が発生し、集中した中流地区では33の事故もあったという。交通省長江航路事務管理局は2007年12月5日、長江中流地区は渇水によって2級のオレンジ色警報を発した。
また、長江の渇水は航路を使用する運輸企業に巨大な損失をもたらした。長航企業グループ運輸部責任者によると、毎月長江における輸送量が400万トンに達しており、渇水期に余分に消耗するエネルギー費用だけでも2000万元(約3億800万円)に上るという。
*生態系への影響が懸念
長江渇水期間において、生態系問題に再び専門家らの関心が寄せられた。昨年末、長江流域が渇水期に突入してから、水位は過去5年間平均値より下回ったときに、各種希少水生動物の死亡情報が頻出した。
湖北省宜昌中華チョウザメ研究所科学研究センターの劉灯紅主任は、渇水期入りしてから、チョウザメの行動空間が縮小させられ、船舶にぶつかったりする可能性が増える上、生活排水やゴミの汚染も野生のチョウザメにダメージを与えると指摘した。
中央科学院水生所の専門家は、長江生態環境の悪化、船舶運輸の増加によって、長江に棲むイルカの数も激減しているとし、長江の水位が低く、船舶の騒音などの影響で、イルカのソナー系統が破壊され易く、生存が懸念されると指摘した。
また、長江の渇水は沿岸の水域に対して深刻な影響を与えている。かつて4000ヘクタールあった鄱陽湖は、今では50ヘクタールまで縮小してしまったが、最も分かり易い例だ。昨年末、洞庭湖も過去最低の水位の記録をし、採石場が破壊され、魚の捕獲量が激減した。長江の渇水は、野ネズミの大量発生も懸念される。
今年の長江の深刻な渇水をもたらした原因として、長江航路部門は、①往年より降水量がすくない②上流からの水量が少ないことから、ここ50年間もっとも深刻な干ばつに見舞われた③三峡地区の増水期に一度の蓄水が行われ、2007年12月に5千立方メートル/秒の放水があったが、これまでの半分量しかなかったとの4つの主因だと分析した。
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