【大紀元日本11月15日】中国のキリスト教徒を支援する米国の団体「対華援助協会」(本部・テキサス州)は最近、中国公安部の極秘内部通達を公表した。この通達は、来年の北京五輪の関係者すべてを厳格に審査することを命じ、参加禁止の対象を詳細に定めている。
ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、今年4月に全国の公安組織に内部通達したこの極秘文書は、五輪委員会の関係者や選手、メディア、スポンサーなども審査の対象と定め、参加禁止の対象について、敵対者や、法輪功修煉者、特定の宗教信仰者、民族分裂を図る人、危険性のあるメディア関係者、陳情者など大まかに11の枠に分け、さらに細分し、43種類に分類している。
AP通信の記者がこの件について、中国公安部の報道官に確認したところ、関連の報道に事実と異なる部分があり、五輪参加者への審査は国際的に慣例となっているとの回答を得た。米国のコネチカット大学で体育史を研究する王冠華・教授は、「安全のために審査するのはまったく問題ないだが、それほど細かい規定は、国際的な慣例というより、中国当局だけだ」と見解を示した。
上記の「対華援助協会」の責任者・傅希秋氏はラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材で、「この内部通達が今年4月に出された後、確認できただけで100人以上の国外宗教関係者、韓国、米国、シンガポールなどの国の人が中国当局に国外強制退去させられた」ことを明らかにした。また、同氏によると、豪州国籍の香港人でキリスト教徒の実業家・呉魁氏が広州市で事業展開している企業「以諾集団」は、当局に強制閉鎖され、管理職の社員が逮捕され、3千万元(約5億1千万円)の資産が凍結されている。
同氏は、北京在住のキリスト教徒で、五輪建設プロジェクトのために、家屋強制撤去の対象となった華恵奇さんの遭遇を明かした。それによると、華さんは最近、当局の強制執行に抗議したため、公安警察に暴行され、重傷を負い病院に運ばれた。その際に、AP通信の記者も現場に居合わせたが、公安警察は医師に扮して、記者が病院に入るのを阻止した。「今の中国の司法、警察はまさに闇社会となっている。政権の安定を守るために、五輪開催のために、手段を選ばずに行動している」と同氏は指摘する。
中国当局の五輪参加者への「厳格審査」について、同氏は、「テロリストなどの問題により、安全が最重要事項であるのは十分に理解できるが、中国当局は五輪の名のもとで、罪のない、平和を愛する人々を弾圧している。これはまさに、五輪精神に完全に背いている」と非難し、「来年の五輪開催中に、中国国内の政権異議者、人権活動家、陳情者、法輪功修煉者などの人身の自由が大きく制限されるのも、想像できる」などと話した。