北京大学[清華大学で食事する会]と学生運動の関係

2007/09/29
更新: 2007/09/29

【大紀元日本9月29日】天安門事件の着火点と言われる北京大学構内の掲示板「三角地」に、「清華大学で食事する会」を組織する呼びかけ文章が多く掲載されているという。中国国内のインフレの影響が学生食堂にも波及し価格の安い学生食堂を求めて他大学にまで出かけている。「亜州時報」香港時事評論員の潘小涛氏は、学食の値上げ問題が学生運動の誘因となる可能性に着目した。同氏の評論の概要は次の通り。

最近、中国・北京大学の学生が、清華大学に集団で、自転車で駆けつけ、他大学の食堂で食事をとっている。大学構内の掲示板「三角地」や学内BBSには、「清華大学で食事する会」を組織することを呼びかける文章が数多く出現している。その原因は、北京大学の食堂の価格が驚くほどの上げ幅で上昇する一方、清華大学の食堂の価格がかなり安いため、皆が北京大学を捨て、清華大学を選んでいることによる。これは、インフレの状況下における北京大学の学生の自衛手段であるが、北京の教育当局は、この問題を軽視することはできないはずだ。これが学生運動の一つの前兆である可能性は高いからだ。

中国国内における最近のインフレは、制御不能のように進行し、その影響は中学校や専門学校、大学などに及んでおり、キャンパスは落ち着きを失いつつある。学生らは、机で静かに学問をすることを望んでいるが、それは全く容易なことでない。一般の大都市における大学生の食費は、以前は毎月約300元であったが、食品価格は、少なくとも100元、多くて200元上昇している。多くの大学生にとって、日常の生活費のやりくりが既に困難になっているが、今般の価格上昇は、彼らにとって泣きっ面に蜂であり、ひいては、彼らの負担能力を既に逸脱している。

大学は、国家の礎を育成する基地であると同時に、社会の安定に影響を与える重要な要素である。過去20余年において、中国は、86年、89年などの学生運動を経験してきた。また、70年代末の民主の壁運動においても、多くの学生が参加した。こうした学生運動や民主化運動の背後には、社会の不公平、官僚の腐敗、政治制度の非民主性などの複雑な社会的背景があるのは確かであるが、大学生の生活困難、個人的利益の損失、不明瞭な前途なども大きな関係があり、ひいては、これが学生運動の導火線となっている。

86年、89年の学生運動当時、職業を自由に選択できる大学生の割合は非常に少なく、多くは、国家の統一的分配に依拠していた。つまり、最果ての地であれ、前途のない職であれ、自分の専門と全く関係のない業務であれ、彼らは国家の分配に服従するほかなかった。

さらに、大学卒業生や大学教師の社会的地位は高くなく、肉体労働者よりもはるかに低かった。この現象は「脳体倒挂」と呼ばれ、知識が無価値である中で、高等教育を受けた知識分子の収入は、教育を全く受けていない肉体労働者にも及ばなかった。当時の風刺に、「原子爆弾の開発は、茶卵を売ることにも及ばない」「手術メスを持つことは、かみそりを持つことにも及ばない」というものがあった。こうした状況に対して、大学の教師、学生は大きな不満を持ち、これが、学生運動が爆発した重要な原因の一つとなった。

89年の民主化運動の後、北京当局は、「重災区」の大学に対して新入生の軍事訓練、政治思想教育の強化などの懲罰的措置をとるとともに、大学卒業生の職業選択の自由に対する制限を大幅に緩和し、大量の資源を投入して学校設備や教師の待遇を改善し、学校側の不満を減少させた。こうした措置は大きな効果を発揮し、キャンパスに17年間の平穏が訪れた。 

しかし、17年間の発展を経て、特に「大学大躍進」の後、後遺症が相次いで顕在化している。卒業即失業の問題が悪化しているほか、多くの大学が高速に拡張して債務の山となった結果、大学側に学費の減免を求めることがもはや筋違いになっている。このため、大学は、様々な項目で学生から費用を徴収する機会を増やしている。大学にとって、学生は唯一可能な収奪の対象であり、学校が債務を返済するための命綱の一つになっているのである。このように、学生は既に深刻な経済圧力に直面しているが、こうした状況の下で、食堂価格の異常な上昇が、大学生の怒りを惹起しないことがあろうか。

小さな火もやがて野原を焼き尽くすとの謂があるが、北京大学の「三角地」は、全ての学生運動の中心であり、ここにある壁新聞が国家の大事を論じ、自由と民主を求め、無数の学生を感化させてきた。今日、北京大学の「三角地」は、食堂の価格を論ずる場所に成り下がってしまっているが、こうした壁新聞を決して軽視してはならない。これが共鳴を引き起こし、投じた一石が幾千もの波を巻き起こせば、食堂の価格から、激しい学生運動が発生する可能性も否定できない。まして、オリンピックを前夜の今は、最適な反抗のタイミングである。北京当局は、この問題に対して油断することができようか!