【大紀元日本7月14日】今年3月から、中国製品の安全問題が頻繁に浮上したため、その訴訟問題も関心の焦点となっている。米フォーチュン(Fortune)誌は最近の報道で、「問題は、どちらが法律上の責任を負うのか、どちらが最終的な弁償を負うのか」と問題提起した。専門家は「中国製品は世界市場に入るためは、有効な規則・制度の制定や、法律責任の分担は重要不可欠」と指摘している。
フォーチュン誌は、「今年3月以来、一連の事件が発生し、潜在的かつ致命的な欠陥を有し、有毒物質を含有する中国からの輸入製品に関連している。ペット・フードや玩具、タイヤ、歯磨き粉、風邪薬、海産物などが対象となっている。そのため、米中両国間はいま、一つの潜在的な危機に直面している」と伝え、「さらに大きな問題は、使用禁止の化学物質を含有する不凍液が歯磨き粉に入れられた場合、一体どちらが法律上の責任を負うのか。米国の企業は、同様な訴訟案が殺到することに気づきはじめている。いわば、汚染成分は中国からだが、責任は米企業にある」と問題提起した。
同誌は、「通常では、輸入業者が安全検査する資金を払う経済力がない。ニュージャーシー州の外国製タイヤを販売する企業FTS社は、地下室で経営する小企業で、従業員は16人しかない。いま、この企業は破産の窮地に直面している。同社が輸入した中国産タイヤに重大な欠陥を発見したため、45万本のタイヤをリコールしなくてはならない。その費用は9千万ドルに達する。現状では、この会社の資金を全部使い果たしても、リコールが終わらない」と伝えた。
今年5月に、上記のFTS社が米フィラデルフィア州で起訴された。同社が販売したタイヤの安全欠陥が原因で、去年2人が死亡する交通事故が発生し、もう1人は脳挫傷の重傷を負った。FTS社は、ニュージャーシー州のニューアーク 連邦裁判所に、このタイヤの製造業者の中国浙江省杭州ゴム製造会社「杭州中策橡胶有限公司」を告訴した。また、事故の被害者家族も、米フィラデルフィア州の裁判所に同中国メーカーを告訴した。これまでに、同中国メーカーはこの2つの告訴に対し、いかなる対応をみせず、過失を完全否認し続けている。米国の原告側は、欠席裁判の許可を得たが、裁判所が判決を強制執行できるかどうかはまだ不明である。
この事故は昨年8月12日に発生した。乗客3人と運転手1人を乗せたシボレーのワゴン車がペンシルバニア州の476号国道で走行中、タイヤが脱落し、ワゴン車が制御不能となり、横転した。乗客3人は全員車外に放り出され、2人が即死、1人は重傷で脳挫傷を負った。
米国のWoloshin & Killino弁護士事務所のジェフリー・キリノ弁護士は、「我々は米国の一流タイヤ専門家に依頼し、事故を起こしたタイヤを徹底的に検査した。約9ヶ月の時間を要し、325ページに及ぶ法律訴訟の資料を提出した」と述べ、「杭州中策橡胶有限公司が故意に且つ密かにタイヤ製造で安全性能を施す工程を省いたことが、二人の若者の死をもたらした直接な原因となった」とした。
カナダ「メニュー・フード(Menu Foods)」社は100以上の企業の共同訴訟に直面している。米国の多くのメーカーが同社の原料を使用して、ぺット・フードを製造したが、摂取した犬・猫が大量死する事故が発生したためだ。この問題の原料は同社が中国から輸入したもので、中からネズミ退治用のアミノプテリン(aminopterin)成分を検出した。また、同社からこの原料を仕入れた米有名大手企業も被告人となっている。例えば、プロクター&ギャンブル社、セーフウエイ社、クロガー社 、ウォールマート社など。
サンフランシスコの原告弁護士ウイリアム・オウデット氏は、「米国の大半の州では、毒のない安全な商品を売るのは、販売業者の義務と定められている」と話した。
フォーチュン誌は、「これらの中間業者は、中国の輸出業者に損害賠償を求めるのは可能だが、これはあくまでも、これらの企業が自分自身で解決しなくてならない問題」と指摘している。
同誌の取材を受けた米国の原告弁護士は、中国の裁判所で問題の中国企業を告訴する考えがないと述べ、その理由について、「小額の損害賠償と、敵対心を持つ裁判官がいるため、訴訟は無意味だ」と説明した。
専門家は「中国製品は世界市場に入るためは、有効な規則・制度の制定や、法律責任の分担は重要不可欠」と指摘している。
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