林保華:中国の報道の自由は単なるスポーツ報道の自由

2007/02/16
更新: 2007/02/16

【大紀元日本2月16日】中国の報道の自由が改善されるか否かは、国際社会の関心を集めてきた問題である。中共当局は、国外の記者の取材規制を緩和することを対外的に公表した。そして、ロイターが中国共産党(中共)元総書記・趙紫陽の秘書であった鮑彤に対して電話取材を行ったため、一部の記者は、当局が海外メディアに対する取材規制を緩和したと考えた。しかし、中共に長期間抑圧されてきた国内人士は、中共がまたもや空手形を切ってきたと断言している。この点について、ラジオ「希望之声」記者が、政治評論家・林保華氏に取材を行った。

林保華:中共が数年前にオリンピックの開催権を獲得した時、彼らは、人権の改善、報道の自由を改善すると称していました。しかし、数年経ってみると、私たちは、人権や報道の自由が進歩するどころかむしろ後退していると感じます。このため、昨年から、一部の人が、中共に対してコミットメントを実現するよう求めています。

中共当局は、今年1月1日からオリンピックの終了まで、外国記者の中国における取材活動の規制を緩和するとともに、外国及び香港の記者が特定の者に取材を行う場合、この特定の者が関係単位の同意を事前に得ておく必要はないと発表した。こうした限定的な措置について、林保華氏は、次のように分析している。

林保華:昨年、中共はメディアの開放を発表しましたが、その開放のやり方が非常におかしいのです。第一に、期間が決まっており、期間後は別の問題であること、第二に、スポーツ報道に関する取材は、決して全ての報道を含んでいません。体育・運動は、本来政治とは関係ないのです。これをどうして自由と呼ぶことができるのでしょうか。こうしたやり方は、スポーツ報道の自由にすぎず、全体的な自由とは言えません。発表するタイミングでポーズを見せるため、当時、ロイターが鮑彤を取材したのであり、この少しの開放で、比較的開放したものと見せかけているのです。

中共が、外国記者の中国取材規制の緩和を発表する一方で、記者が鄭恩寵弁護士や高智晟弁護士を取材することを阻止している。この点について、林保華は次のように指摘している。

林保華:64(天安門事件)から現在まで、既に十数年が過ぎました。趙紫陽も世を去り、相対的に、(天安門事件は)当時ほど敏感ではなくなりました。しかし、ロイターが上海で鄭恩寵弁護士を取材したところ、これを禁止されました。鄭恩寵氏が人権活動を行っていたからです。中共が報道の自由を与えるか否かを検討する際に考慮しているのは、敏感さ、(中共への)脅威の度合いです。高智晟氏もまた人権活動を行う弁護士であり、彼の事案は法輪功と関係があり、非常に敏感なのです。

多くの国際組織は、中共が人を捕まえたり、解放したりといったゲームに困惑している。林保華氏は次のように述べている。

林保華:私がいま非常に残念に思うのは、国際的メディアが次第に中共と妥協しようとしていることです。共産党がいずれにしてもろくでなしであることは皆が知るところです。したがって、今後もろくでなしであり続けても、皆は既にこの状況に慣れています。国際記者組織が1月下旬に北京を訪問しましたが、これはオリンピックと関係があります。以前、彼らはずっと中共がオリンピックを主宰することに反対してきました。しかし、北京が今回報道の自由を開放すると回答し、一部の人を解放したことで、国境なき記者団は、人道的見地から、人々を解放する意思があるのだから、中共がオリンピックを開催することを支持するとしました。北京のコミットメントを信じることができるのでしょうか?私は信じません。中共は次のような言い振りをするでしょう:見てください、私はコミットメントを実現しました。しかし、報道の自由の制限に係る全体的な方式は変えないでしょう。中共が人を逮捕するやり方も変えず、一方で逮捕、一方で解放というプロセスを続けるのです。