【大紀元日本1月19日】台湾政治界と経済界を驚愕させた力覇(リバ)グループ企業の金融スキャンダルの主犯・王又曽氏および王金世英氏夫妻は、事件発覚後に中国大陸へ逃亡し、台湾社会では、大陸は「指名手配容疑者らの楽園」として悪名をはせた。台湾立法院の超党派からなる「台商国会弁公室」はこのほど開かれた座談会で、台湾の指名手配容疑者らが大陸へ逃亡した比率が82%にも達している問題に強い関心を示した。
台商国会弁公室は、1月15日に座談会を開き、王又曽夫妻の中国大陸逃亡と大陸が台湾の犯罪者らの楽園になったことについて論議を行った。今回の座談会は、国民党の朱鳳芝・立法委員、親民党の李鴻鈞立法委員、張顕耀立法委員および民進党の許榮淑立法委員が共同司会を行い、1990年に両岸の密入国者と刑事犯を取締り、強制送還することを盛り込んだ「金門協議」の執行効果が限定されていると指摘し、超党派グループを大陸へ派遣し、両者が共同に犯罪抑止の対策協議を行うことに決めた。
座談会では、台湾警察庁が2006年10月に公布した「緊急指名手配容疑者リスト」を公開し、リストアップされた95人の犯罪者の内、82%も占める78人が大陸へ逃亡していることに参加者らは驚いた。
リストの一部は次の通り。(指名手配番号、氏名、犯罪内容、逃亡先等の順)
1.蔡明山、拳銃所持殺人、中国大陸、拳銃所持
2.呉福順、誘拐・ゆすり、中国大陸、拳銃所持
3.許太郎、誘拐・ゆすり、中国大陸、拳銃所持
4.陳明宗、誘拐・ゆすり、中国大陸、拳銃所持
5.伍澤元、汚職行為、中国大陸
6.陳由豪、背信行為、中国大陸
7.劉冠軍、汚職行為、中国大陸
8.劉偉杰、横領、中国大陸
………
93.楊錦鎮、拳銃所持殺人、中国大陸、拳銃所持
94.黄中舜、証券偽造、中国大陸、拳銃所持可能性あり
95._deng_宗信、拳銃所持殺人、中国大陸、拳銃所持
座談会では、台湾から大陸へ逃亡した指名手配者たちの犯罪種類をも統計し、分析した結果、拳銃所持殺人が57%、誘拐・ゆすりが13%、窃盗・強盗・拳銃による強盗が10%、銃弾爆薬法違反・武器密輸が3%、その他が17%である。
一方、台湾海峡交流基金会(以下、海基会)が提示した両岸に関する司法協力業務統計データによると、1990年に海基会が設立されてから2005年までに、台湾側が大陸に対して協力を要請した案件が611件に対して、大陸側が犯人を検挙した案件は76件で、逮捕率はわずか12%だった。仮に大陸側から自発的に犯罪者を検挙し台湾へ送還した92件の数字を統計に入れても、逮捕率は27%に過ぎないのだ。
これに対して、大陸事務を主管する台湾の陸委会は、現在、台湾から大陸へ渡り、身を隠している重罪経済犯罪者は73人おり、北京側が、王又曽夫妻に対して、取締らずに彼らが大陸と他の地域を往来することを黙認するなら、実際の数字は75人に増加すると意見を示した。
力覇スキャンダルが台湾で沸き返るように騒がれていたときに、王又曽夫妻は上海へ逃れた。これに対して、台湾政府と民間が北京側へ王氏夫妻の検挙と強制送還の協力を要請した矢先に、中共は王氏夫妻を無事出国させたという。こうした事実からみて、「大陸は台湾犯罪者の楽園」とは決して大仰な言い方ではないようだ。