亡命中国高官、強制送還を回避、タイに入国

2006/11/04
更新: 2006/11/04

【大紀元日本11月4日】先月台湾に亡命するも同政府から香港に強制送還された中国山西省政府高官・賈甲氏は、香港での在留期限の最終日にあたる11月2日、強制送還を回避するためにタイへ渡った。同氏はタイで記者会見を開き、引き続き国連関連機構に第三国への亡命を打診する予定。

賈氏は10月22日に訪問先の台湾で政治亡命を申請し、同月26日に台湾政府に香港へ強制送還された。香港での在留期限はわずか7日間しかないため、その間、同氏は各方面に働きかけ、香港での在留期限の延長を申請しながら、第三国への亡命の道を探り続けた。一方、情報筋によると、中国当局は香港特別行政区政府に圧力をかけ、賈氏の滞在延長申請を放置することで不法滞在の既成事実を作り、それを理由に同氏を逮捕、国内へ強制送還するよう命じたという。

賈氏は現地時間11月2日夜に香港を離れ、タイに入国し、各界の支援に感謝する意を表し、「少し疲れた、よく休みを取りたい」と話した。中国で起きている中国共産党からの離脱運動について、これからも国際社会にその真実を訴え続けていくと述べた。また、ニュージーランドで父親の安否を気遣う、賈氏の息子である賈闊氏は知らせを聞いて「心の重荷が取れた」と安堵した様子を示すとともに、各方面の支援に感謝した。

大紀元時報の唐忠・総裁は、賈甲氏が安全にタイに入国できたことに安堵の気持ちを示し、「大紀元が社説『九評共産党』を公表してから2年の間に、中国全土で脱党運動を引き起こした。一方、中国当局はずっとこの情報を封鎖し続けている。賈甲氏が個人の安否を念頭におかず、その脱党運動の真相を国際社会に暴露した。我々は同氏の正義心と勇気を賞賛する」と述べた。

また、中国共産党離脱者救援組織(本部=米国)のスポークスマン・高大維氏は、「中国当局の強い外交圧力の中、賈甲氏の中国国内への強制送還を回避することができたのは喜ばしいと思います。彼本人が中国当局の残酷な迫害から逃れただけではなく、中国国内にいる共産党から離脱したい民衆や、幹部にとって、強い励みになっているのは間違いない」と分析、同組織は引き続き同氏の安全を注意深く見守り、必要な援助を提供していく構えを示した。

一方、中国当局内部の情報筋によると、賈甲氏が亡命を申請したことは、中国当局指導部に衝撃を与えた。当局は香港特別行政区政府に強い圧力をかけ、賈甲氏の香港での滞在延長の申請を放置することで不法滞在の既成事実を作り上げ、同氏を国内に強制送還するよう命じた。また、賈甲氏の亡命申請を受け入れようとする国には、中国当局は「内政干渉」を理由に、本件へ関与しないよう働きかけたという。

現時点において、賈甲氏が所属する山西省科学技術専門家協会のホームページ(http://www.sxte.com)が閉鎖されている。同氏が亡命してからすでに10日間が経過したが、国内メディアはこの件を一切報道していない。

賈氏が香港に留まっている間も、中国当局からの様々な恐喝に遭った。電話の電波が妨害されたり、無言電話がかけられたり、中国公安関係者が記者を介して、伝言したりした。

賈氏が中国当局と決別宣言したことは、海外在住華人の間にも強い反響を呼んでいる。全世界各地で応援集会が開かれた。また、同氏によると、すでに複数の国は彼の亡命申請を受け入れることを検討しているという。香港現地時間11月1日、香港での在留期限延長を申請した際に、欧州議会のスコット副議長は香港移民局に書簡を送り、香港当局が同氏の申請を許可すべきと進言した。

訪日中の中国民主活動家・魏京生氏(米国在住)は賈甲氏の亡命について、同氏は勇気を持って国際社会に中国での脱党運動を証明したと指摘し、「これは非常に重要な行動だ。(脱党を)迷っていたり、恐れたりしている人たちに素晴らしい模範を示した」と述べた。

カナダ在住の女性自由作家・盛雪氏は、中国当局内部には、賈氏のように堕落したくなく、自身の心を裏切りたくない、正義と良知の有識者がいると分析、このよう人々は最終的に必ず中国共産党と決別すると語った。

中国共産党離脱者救援組織によると、賈氏の亡命事件後、中国大陸の共産党離脱する声明者数は上昇の動きを呈示しているという。同組織の共産党離脱声明を受付るホットラインは2日に、ウクライナ在住の中国人・田氏からの電話を受けた。田氏は、賈氏の亡命情報を知り、強い衝撃を受けたと同時に励まされ、田氏の家族全員が中国共産党の関連組織からの脱退を声明したことを明らかにし、「すべての中国人に、この喜ばしい情報を知らせるべきだ」と語った。