【大紀元日本9月24日】作家で歴史学者の辛灝年(シン・ハオ・ニェン)教授(※)は、「大紀元時報」「中国研究」および「中国民主論壇」の招請を受けて、9月16日にバンクーバー中央図書館で「中国の運命と台湾の前途」と題した講演を行った。3時間近い辛教授の講演に300人の参加者が盛大な拍手を送った。
講演する辛灝年教授(大紀元)
講演では、辛教授は歴史の事実を踏まえて、二つの中国(中華民国と中華人民共和国)の成立の過程、二つの中国のそれぞれの性質と特徴を説明したうえで、台湾の未来と中国の前途について、意見を述べた。以下は、講演内容の一部である。
二つの中国の成立過程
1912年1月1日に、孫中山氏が大中華民国を建設したことで、(清朝以外の)二つ目の中国(の代表)が誕生した。1931年9月18日、日本は東北3省を占領。同年11月7日、中国共産党(中共)はスターリンの指示を受け、中華民国の江西省の瑞金にて中華ソビエト共和国を作った。当時は、この地域が「ソ区」と呼ばれ、つまり、中国領内のソ連占領区の意味である。その後、モスクワの「真理報」紙はこの地域を「ソビエトが作ったもう1つの中国」と報道した。さらに1949年、この中華ソビエト共和国が中華人民共和国に変わった。
一方、大中華民国は長い抗日戦争で勝利を勝取り、これまで100年間の歴史における不平等条約の廃除がようやくできた際、ソビエトに支援された中共の軍隊に敗れて、大中華民国政府は台湾へ敗退した。このように、台湾海峡両岸で二つの対立する中国が生じたことは、中華民族にとって、とても悲しい事実である。
二つの中国の性質と特徴
1)中華民国―自由共和の国家
大中華民国は、英・仏・ロ・独などの共和国の成立過程と同じように、長い苦しい道のりを経て、君主専制を倒して、人民が自由を有するアジアでの最初の共和国の成立を成し遂げた。1949年蒋介石氏が敗退し台湾へ渡ったが、中華民国の国号を守り続けた。蒋氏親子2代の政権を経て、台湾で中国の最初の三民主義(民族、民権、民生)の典範が築き上げられた。
2)中華人民共和国―マルクス・レーニン主義の国家
中共は1949年執政後の最初の行動が、マルクス・レーニン主義をもって中国歴史を否定し、中華文化を侮辱したことであった。元々、中共はソビエト共産の第三インターナショナル(コミンテルン)の一つの支部に過ぎなかった。
1949年から20年間あまりの間に、毛沢東の統治下の中国で、非正常の死亡人口(各種の政治運動、政治迫害による死亡者)が8千万人にも達した。1989年の天安門事件から法輪功に対する迫害まで、中共の人民に対する弾圧は止まったことはなかった。このような人民共和国は、決して人民のものでもなく、共和的なものでもなく、中共のマルクス・レーニン主義専制国家にほかならない。
真の中国とは
真の中華民族の国家は、まず中華民族の血脈を継承し、さらに中華民族の文化および思想を伝承していなければならない。現在の中国で中華民族の文化思想が他の者(マルクス・レーニン主義)により取って換えられてしまたから、それは、もはや真の中華民族の国家とは言えない。
一人の中国人として、私は台湾で築き上げられた民主制度を大いに肯定してあげたい。さらにこの民主制度の健全な発展を大いに期待している。台湾で民主制度の成功は台湾人民の幸運だけではなく、全中国人民の幸運でもある。これに反して、台湾の混乱を起こすためのいかなる外部介入、挑発、推進などの行動は、決して中国を愛し、中華民族を愛する人が成すべきことではない。現在、もっとも台湾の混乱を望んでいるのは、中共政権しかない。
台湾の未来と中国の前途
中共が台湾問題に対して、武力の脅威と人情の誘惑などの手段で統一戦線工作を行っている。昨年、中共の将軍・朱成虎氏が「米国と核戦争を起こしても台湾を奪還しなければならない」と公言した。これは典型的な武力脅迫の手段での統一戦線工作である。また、中共は大陸出身の台湾政党要員の故郷への思いを利用し、彼らを大陸に招待し、美人、美食と高ランクの接待を用いて酔わせた。これによって一部の台湾政党要員はすでに民主主義、国民党の理念などを忘れてしまった。これはまさに中共の人情誘惑での統一戦線工作である。
もし、台湾は本当に中国共産党の統一戦線のわなにかかったら、台湾の滅亡はもう目の前のことである。もし、中国共産党は本当に「台湾を解放」したら、それはつまり中国の民主共和の道を断絶することになる。台湾の民主制度を潰してしまえば、それは中国大陸の人々の民主の追求に対して最大の災難である。
中国大陸が中共の専制独裁から脱却し、民主自由の共和体制へ邁進するために、孫中山氏が唱えた三民主義を再喚起して、台湾の民主制度を保護する必要がある。
【※辛灝年教授のプロファイル】
辛灝年氏は、本名が高尓品、現在アメリカ在住。氏は1947年11月に南京で生まれて、武漢大学から卒業、大陸の有名な作家、歴史学者である。 1994年にトロント大学客員研究員、1995年にコロンビア大学博士号研究員、1998年にコロンビア大学客員教授。その他に、米国中国現代史研究所の所長、歴史文化季刊『黄花崗雑誌』の編集主幹を担当している。 主要著作は、『誰が新中国なのか』のほかに10部以上。世界各地の講演会に多忙中。
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