安倍氏の経済政策は自民総裁選後に具体策、IT投資減税が柱

2006/09/13
更新: 2006/09/13

自民党総裁選最有力候補の安倍官房長官は、具体的な経済政策の中身について総裁選後に明らかにする方針という。安倍氏の側近によると、民間のIT(情報技術)投資減税を柱とする考えが浮上、成長戦略への寄与を期待している。

政府は2003年1月から3年余りで5000億円規模のIT投資減税を実施。経済産業省によると2003年から2005年の3年間で2兆円の経済効果があったとしている。また、この投資により、2010年までの8年間で4兆円の効果があると試算。安倍氏周辺では、同程度の投資減税を実施する方向で検討しているもよう。

「骨太の方針2006」では財政健全化に向けて「名目経済成長率3%程度の堅実な前提に基づいて、必要な改革措置を講ずることとする」とし、安倍氏は「名目3%、その中で(実質年率2.2%)を掲げているが、(それらを)着実に実現することは不可能ではない」と発言している。安倍氏側近は「名目ではなく、実質3%の成長も可能だ」と鼻息が荒い。

財政再建について、安倍氏はこれまでの政策論戦では慎重姿勢を示している。政治評論家の屋山太郎氏は「プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を進めながら、3─4%の経済成長を続けるのが理想で、緩やかなインフレに持っていこうとしているのではないか」との見立てだ。

ただ、安倍陣営の中には「例えば、国民の預貯金合計が750兆円あり、金利が1%に上昇すれば7.5兆円を生み出せるではないか」(安倍応援隊)と、利上げのメリットを活かした消費拡大策の重要性を強調する意見もあり、前出の安倍氏側近が主張するIT投資減税策を経済政策の柱とすることについては安倍陣営のコンセンサスを得られていない。このため「安倍政権発足をにらみ、精密な議論が必要だ」(安倍氏側近)という。

[ロイター12日=東京]