北京五輪開催誓約を守れ、当局にメディアの自由を要求=駐中国・外国人記者協会

2006/08/10
更新: 2006/08/10

【大紀元日本8月10日】駐中国の外国人記者協会(FCCC)は8月7日北京で声明文を発表した。中共当局は、北京オリンピック開催資格の条件付けとしての「メディアに完全な自由を与える」との当初の誓約は、オリンピックの開催まで後2年間しか残されていないにもかかわらず現状では実現されていないと指摘、当局に対し、メディアへの干渉、妨害の撤回を求め、北京オリンピックを招致する際に「中国にいる外国記者に自由な取材環境を提供する」との誓約宣言を守るよう要求した。

ドイツ系メディアによると、声明文では「オリンピックを招致する当初、中共政権は『メディアに完全な自由を与える』と保証したが、オリンピック開催まで後2年間しか残されていないにもかかわらず、この誓約は終始、空論となっている」と指摘。駐中国の外国記者とその助手らが、取材対象を、一旦環境汚染や、エイズ病問題、農民の集団暴動などの敏感な話題に触れると、すぐに中共の公安警察から干渉と妨害が入ると非難した。

この声明文が公表される前日、ドイツのシュトッツガルト紙記者マース氏は、湖北省宜昌市在住の人権擁護者・傅先財氏の息子・傅斌氏を取材する予定だった。しかし、現地政権の幹部は事前に傅斌氏を脅迫し、現地幹部が長江三峡の建設のために移住させられた人々への補償金を不正流用した事実を外国記者に漏洩しないよう強要し、守らなければ痛い目に遭わせると脅した。マース記者は現地入りした翌日に、傅先財氏の住んでいる村を訪れようとしたが、共産党幹部に止められ、村に入ることが出来なかった。村民たちも事前に公安警察から警告され、取材を受けることが禁止された。

傅先財氏は6月初めに、ドイツのテレビ局の取材を受けた際、中共政権は同ダムを建設するために、130万人の住民を強制的に立ち退きした上、住民に約束した補償金は未払いになっていることを暴露した。後に同氏は、「正体不明な暴徒」に襲撃され、重い後遺症が残り、寝たきりになった。

外国人記者協会の内部統計によると、2004年以来、外国人記者が中国で取材を行なう際に当局から暴力を受けた事件は少なくとも72件発生、15カ国の記者が被害を受けたという。2005年10月、香港の「南華早報」紙とフランスの国際ラジオ放送局の記者は広州市大石村で、村民が現地の汚職幹部の免職を求める抗議活動を取材する際に、警官の目前で、「正体不明の暴徒」から暴力を受けた。

当局は、外国記者に対し、取材する前に、関連の政府部門から許可をもらうことを義務付けた。許可が下りない場合、調査や、情報収集などの取材活動を禁止するという。外国人記者は今回の声明文の中で、「このような審査は、オリンピック主催国が有するべき基準に反し、自由平等などのオリンピック精神に背いている」と非難した。

外国人記者よりもさらに状況が悲惨なのは、外国メディアに従事する中国人記者である。ニューヨークタイムズ紙の研究員・趙岩氏や、シンガポール紙「海峡時報」の記者・程翔氏などは、身の覚えのない罪を着せられ、刑務所に監禁されている。

現時点で、北京市で登録している外国人記者は40数カ国の200人あまりで、2008年のオリンピック期間中に、計2万人以上の外国記者が中国で取材活動を行う見込み。

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