【大紀元日本7月9日】中共政権は5日、キリスト教家庭教会(「地下教会」とも称する) 「三班僕人」教派の主要関係者に、殺人罪などの罪で死刑判決などを言渡した。判決には物的証拠が乏しく、被告人たちの自供が断罪の決め手となっているが、被告人たちは法廷で、警察による拷問に耐え切れず自供してしまったと主張している。
自由アジアラジオ(RFA)の報道によると、「三班僕人」というキリスト教家庭教会には、約100万人の信者がおり、中国家庭教会の1つの教派である。その指導者の徐双富氏(男性60歳)は、14歳からカトリック教を信仰し始め、これまでに「反革命」や、「社会治安を騒乱する」などの罪で、2回にわたり有期懲役を科せられ、投獄されていた。また、伝教活動が違法行為と指摘され、幾度も強制労働収容所に監禁されていた。徐双富氏は1990年代初めに、「三班僕人」を結成した。
同教会の紹介資料では、「我々がある特殊な環境で生きている。政権者が公に無神論を宣し、最終的に宗教を消滅しようとしている。民衆に宗教の自由を与えるとしているが、キリスト教徒は、当局が管理している三自協会の宗教活動に参加することしか許されず、当局にコントロールされない一切の家庭教会は非合法とされ取締られている。我々は政権者を反するのではなく、我々の敵はサタンである」と書かれ、教会の信仰趣旨と組織構成など明確に紹介している。
当局の起訴状によると、2004年4月に徐双富氏と16名の「三班僕人」メンバーが、「東方閃電」という教派の信者20人を殺した。決め手となる証拠は、被告人たちの自供であるという。
一方、徐氏の娘によると、今年3月黒竜江省双鴨山市中級人民法院(日本の地方裁判所に相当する)での一審の審理をする際に、徐双富氏などの被告人は法廷で、警察が凄まじい拷問を強い、自白を強要したと明かし、拷問に耐え切れなくなった状況の中で罪状を認めたと主張し、一切の告発を否定した。1人の被告人はその場でズボンを下ろし、拷問の傷跡を開示した。法廷側は被告人たちの主張を完全無視した。
情報筋によると、被告人の一名は2004年4月27日、拷問により死亡した。
今月5日の判決結果では、徐双富氏とその他の2人の主犯格となれる信者は、「故意殺人罪」で死刑判決を言渡され、全財産も没収される。その他の3人には死刑の執行猶予が下され、ほかに11人はそれぞれ3年から15年の有期懲役を言渡された。
近年、中共政権によるキリスト教家庭教会への取締りが益々厳しくなり、米国にある「対華援助協会」の統計によると、最近の12ヶ月間、わかっただけで、計2千人以上の信者が逮捕や、監禁され、厳しい拷問など受けたという。今年5月11日ブッシュ大統領は、米国に訪れた3人の家庭教会の信者と会談し、中共政権によるキリスト教への打圧の状況を調べた。その3人は中国に帰国後、中共の脅迫や、騒乱などを受けた。
「対華援助協会」の主席、中国家庭協会牧師フ希秋によると、中共当局は近年宗教迫害で使われる方法は宗教問題を刑事化する傾向が見え、刑事の罪名で異なる信仰団体を取り締まる目的であるという。
注:家庭教会、「地下教会」ともいう。個人の家などで小規模な信仰活動を行う「家庭教会」や、バチカンに追従する「地下教会」と呼ばれるカトリック教会など、官製側の正式な認可を受けていない非公認の教会を指す。中国の現行の法律では、宗教活動は政府部門の宗教局が指定した場所と時間に、宗教局が認定した聖職者によって行なわなければならない(略して「三定」という)。その「三定」に違反する活動はすべて邪教と見なされ、厳しく取り締まられている。家庭教会はこのような状況で生まれた秘密教会のことだが、通う人数はカトリックが1000万人,プロテスタントは約6000万人で、概算すると約7000万人以上とも言われている。家庭教会に対する当局の弾圧は、人権を著しく侵害するものであると国際社会に批判されており、その撤廃を求められている。