大和証券グループ本社の鈴木茂晴社長は7日、2007年3月期のグループ連結の株主資本利益率(ROE)が20%を上回る可能性があるとの見通しを示した。投資銀行業務の拡大や個人投資家の株式投資の流れが加速しているのを背景にビジネスチャンスがこれまで以上に広がっているためだ。ロイターとのインタビューで語った。
大和は今年4月に発表した2009年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画でROEを15%以上に保つとの数値目標を示している。2006年3月期のグループ連結ROEは19.4%とすでに中計の15%を超えていたが、鈴木社長はこうした拡大基調が今期も続くとの見通しを示した。
<三井住友銀行との連携が強みに>
大和はトレーディングや自己資金投資業務の拡大のため今年5月、ホールセール部門である大和証券SMBCの1002億円の増資を実施。今後のビジネス拡大に向けた基盤を整えている。
三井住友フィナンシャルグループとの合弁である大和証券SMBCは、銀行との連携効果が営業収益ベースで06年3月期に前年比約60%増の1023億円に拡大。前期には、楽天や三井住友FGの大型増資の主幹事獲得や、三洋電機の金融支援でも優先株引受けで自己資金を投じた。
鈴木社長はこうした三井住友との連携について、資金調達の引受けや新規公開(IPO)など多岐にわたって「銀行の持つ法人チャネルを活用できシナジーは抜群に大きい」と強調。中計には株式、債券、M&Aのリーグテーブルで首位になる目標を盛り込んだが、この達成についても「全く問題ない」と自信を示した。
今後は、三井住友銀行が拠点を持つアジアでも連携しながら、現地企業のIPOや公募増資(POWL=public offering without listing)などで実績を上げたいとしている。
これまでにも大和と三井住友は、ベンチャーキャピタル投資などで両社間の連携を段階的に拡大してきた。06年度下期には、グループのリテール部門である大和証券が三井住友銀行の富裕層顧客に対し投資顧問サービス「ダイワSMA」の提供を始める予定で、引き続きシナジーのある分野で連携を図る。
<株価はいったん調整後回復、年末に1万9000近辺に>
一方、このところ調整色を強めている日本の株式相場に関しては、いったん調整した後に再び右肩上がりの相場を形成し、日経平均株価は「今年末に1万8000円を抜けて1万9000円近くまで行くだろう」(鈴木社長)との見方を示した。
鈴木社長は、日本企業はこれまで縮小均衡を続けてきたが設備投資を拡大させるなど「間違いなく10年単位での拡張期に入った」と指摘。今期の業績見通しを保守的に見積もっている企業は多いが、夏にかけて増額修正するような企業がでて「7─8月にかけては相場が(上昇に)動きだす。予想PER(株価収益率)も20倍を割るなどトータルでみると割安になっている」(同)ことや経済のファンダメンタルズが強いことなども相場にとってプラスになるとの見解を示した。
7日の日経平均株価の終値は前日比288円安(1.88%下落)の1万5096円と、終値ベースでは今年1月18日につけた年初来安値を更新している。
[東京 7日 ロイター]
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