中国の不動産バブルを分析

2006/05/25
更新: 2006/05/25

【大紀元日本5月25日】中国の温家宝・首相は5月17日、不動産投資の過熱化を抑制するために、国務院の常務会議で、不動産市場をマクロコントロールする6条の措置を公布した。税制調整や、土地供給の規制、一般所得者のための住宅建設、不動産市場と土地の投機運営抑制などの内容が含まれる。過去2年間、中共政権は不動産市場へのマクロコントロールを実施してきたが、成功しなかった。現在、中国不動産市場のバブルはすでに爆発寸前であり、崩壊するかどうかを論じるより、いつ崩壊するのかが問題だと言われている。

今年の第一四半期において、住宅価格と空室率は再度急激に上昇し、不動産バブル崩壊の可能性は日増しに高まっている。北京市を例に取ると、去年度の不動産価格の上昇率は19.2%、今年度上半期では876ドル/平方メートルまでに上昇した(都市部一般所得者月給の約5ヶ月分)。一方、売れ残り物件も増加している。中共政権が公表した統計データによると、4月末の北京市の空き住宅総面積は去年同期と比べ22.3%増加し、443万平方メートル(全国のデータは1.23億平方メートル)に達した。中国社会科学院金融発展室の主任・易憲容氏は、全国の平均空室率がすでに26%に達しており、深刻な在庫状況に陥っていると指摘する。

国際的な基準によると、空室率5%-10%は合理的で、10%-20%になると、危険ゾーンに達するとされている。20%を超えると、事態を打開しなければ、国家経済に深刻な影響を及ぼすといわれている。即ち、今の中国の不動産市場は崖っぷちにあるということだ。

しかし、中国での分譲住宅の供給は決して過剰ではなく、住宅需要はこれからも持続的に伸びる見込みだ。しかし、価格上昇し続ける住宅が庶民の手に入ることはなく、ごく一部の経済力のある人が購入している。経済発展が進む沿海地域住民の70%は住宅を購入することができない。それが高い空室率の背景だ。

しかし、分譲住宅が大量に売れ残る中、今年第一四半期では10.3億平方メートルの住宅が建設中、前年度の同時期と比べ23.3%増加し、不動産開発業者は新たに2800億元を投資した。

香港で上場した中国の不動産開発大手企業・上海置業(SRE)はこのほど、総額1.5億ドルの7年期の債券を発行し、国内の不動産開発に投資している。世界的な格付け会社のスタンダード&プアーズ社とムーディー社は、SREに対して冷やかな判断を下し、発行した債券をそれぞれ「BB-」(投資を勧めることができない)と「Ba3」(投機リスクがあり、投資の安全性を保証できない)に格付けした。債券の発行後、同社の営業利益は大幅にダウンし、利息支出の3倍にしかならない見込み。即ち債券の利息支払いは企業の重荷となる。上海ではSREのような不動産開発業者が多く存在し、雪だるま式の競争手段を使いながら、次から次へと不動産開発に着手している。その際、例え僅かな市場調整が発生しても、命取りになる可能性が高い。

このようなバブルの状況の中で、問題を解決するため、中国市場で不動産投資信託を導入させようとする声が上がっている。しかし、中国不動産市場のバブル問題は分譲住宅に集中しており、不動産投資信託が注目するのは、大型公共施設や、オフィスビル、ホテル、工場、倉庫などの収益型不動産である。その対策は決して有効とは言えないだろう。

現在の状況をみると、わずかなマイナス情報でも、不動産市場のバブル崩壊につながる危険性がある。2008年の北京オリンピック前に、その災難が到来する可能性は決して低くない。