【大紀元日本5月20日】中国の国有銀行・中国銀行は5月18日香港で株式を新規公開した。仮条件の1株の公募価格は2・5元-3・0元で、計700億元の資金を調達できる見込み。中国の内情に詳しい香港誌「開放雑誌」の執行編集者・蔡詠梅氏は、「中国の4大国有銀行は相次ぎ海外マーケットで上場する背景には、国内の金融体制が崩壊の難局に直面している実情が潜んでおり、海外市場での資金調達で危機から逃れようとしている」と指摘、海外市場での上場も一定のリスクがあるため、最終的には中共政権の崩壊を導く可能性があると警鐘を鳴らした。
今回の株の公募増資による資金調達規模は世界で第6番目となる。17日中国銀行は香港でテレビ電話による記者会見を開き、18日午前9時から正式に公募を開始、全世界で255億株を発行する予定、そのうち香港市場では5%の12・78億株を発行するという。また、仮条件の1株の公募価格は2・5元-3・0元で、計700億元の資金を調達できる見込み。公開前申告期間は5月23日まで、6月1日に正式に上場する。
中国銀行は中国の建設銀行や、交通銀行に次ぎ、香港株式市場で上場する三軒目の中国国有銀行で、国内4大銀行のトップである。
しかし、近年中国の国有銀行では、汚職スキャンダルが続発した。去年の9月末ごろ、中国四大国有銀行の支店長など42人が、海外に集団逃亡するという重大事件が発覚した。当事件は、少なくとも740億人民元と22.3億米ドルの不正流用に関連していた。(大紀元日本の関連報道:http://www.epochtimes.jp/jp/2005/10/html/d40409.html)。前中国銀行の総裁・王学斌が、大量の国有資産を彼個人の私的財産に変えた。問題が発覚後、中共は彼を建設銀行に左遷しただけに留まった。王の汚職に関与した台湾の俳優・劉家昌も、数百万元の大金を懐に入れたのに、まったく取り調べを受けることもなく、いまだに上海で悠々自適してビジネスを続けている。また、中国銀行香港支店の総裁・劉金宝は、不正な融資を大量に行い、巨額の不良債権が生じた。香港メディアの報道によると、これらの不良債権は全部帳消しされたという。しかし、このような金融汚職は氷山の一角に過ぎない。著名な国際会計事務所アーンスト&ヤング社は5月はじめに会計報告書を公開、中国銀行業が抱える不良債権は9千億ドルを超え、そのうち4大国有銀行は40%を占めたと記した。その後中共政権の圧力を受け、報告書が撤回されることになった(大紀元日本の関連報道:http://www.epochtimes.jp/jp/2006/05/html/d76035.html)。
香港誌「開放雑誌」の執行編集者・蔡詠梅氏は、中国国有銀行は相次ぎ海外で株式上場するのは、瀕死の難局から脱出するための資金調達であると指摘、「一般の経済理論からみれば、これらの中国国有銀行はとっくに経営破たんしたはず。ここまで経営が維持できたのは、中共政権の国家性質によるもので、中国の経済運営の大部分は行政命令に基づいて行われ、国民のお金で維持している。中国国内において、表向きでは銀行の経営が継続されているのだが、実際には高いリスクが潜んでいる。海外で株式の上場を計ったのは、そのようなリスクを海外に転化するためである」と分析、中共政権の命取りとなるのは、恐らく金融問題であるとの見解を示した。
また、蔡詠梅氏は株式市場の投資家に対して、短期の利益狙いは問題ないのだが、長期投資するとリスクはかなり高いと提言、「中共政権は作り事を言うのが得意技で、中共の統計データの信憑性は極めて低いのは周知の事実だ。株式上場するため公開した銀行の企業情報も、現実に基づいてない可能性は非常に高い。多くの投資家は、中国国有銀行が中共政権に支えられているため、安心して投資できると理解しているのだが、このような株を長期所有すると、高いリスクを背負うことになる、とんでもない落とし穴に陥る」と警鐘を鳴らした。