【大紀元日本5月8日】本年3月に国連人権委員会から改組された国連人権理事会は、第一回の理事国メンバー構成が9日、国連加盟国による選挙で決められる予定。国際人権監察団体の「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は加盟国に対し、中国を含めて7カ国の独裁国家の国連人権理事会入りを阻止するようにと促している。同組織は、「これらの国は、人権を著しく侵害する記録がある」と説明している。
米国VOAの報道によると、国連人権理事会の前身である国連人権委員会は、人権侵害に深刻な問題がある独裁国家スーダンやキューバ、中国などを加盟させ、これらの国家に不利となる人権決議案は、通過困難な状況に陥っていた。それに対して国際社会が批判し、人権活動家らは、人権委員会を廃止し強力かつ清廉な機構を新しく立ち上がることを強く求める経緯があった。
新設の人権理事会に47の理事国が含まれる。 それらの理事国は9日に191の国連加盟国による選挙で決めることになっている。現時点において、中国を含め65カ国が人権理事会への参加を申し出ているという。
「国連観察」:中国、人権侵害の代表
これらの65カ国について、「国連観察」(本部=スイス)組織は、国家の自由度を基準に評価を行った。 その結果、中国はワーストリストのトップに選ばれた。「国連観察」は「中国のような深刻な人権侵害問題の国は、国連人権理事会にとって脅威的な存在である。もし中国やキューバなどが人権理事会に加盟するとなれば、人権理事会は、批判され廃止となったその前身である人権委員会とはなんら違いもなく、ただ名称を変えただけ」と批判した。
ロイター通信は、「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」のロス委員長の談話を引用し、アゼルバイジャン、中国、キューバ、イラン、パキスタン、ロシアとサウジアラビアなどの7カ国の最悪な人権記録から判断すれば、これらの国は国連が新設した人権理事会に加盟する資格はないと報道した。
米国:人権理事会のガイドラインが低すぎる
常に国連人権委員会を強く批判してきた米国は、人権理事会の新設にも賛成しなかった。「国連のこの新しい人権組織のガイドラインが低すぎるため、不名誉な人権記録を持つ国の加盟を制限できない」との見方を示している。そのため、米国は、今年の人権理事会への加盟を先送りする見通し。
9日に行われる理事国の選出は、96カ国以上の国連加盟国の賛成票が必要と定められている。それについて、「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」のロス委員長は国連本部の記者会見で、キューバは深刻な人権問題を有する国の一つだが、常に多くの国連加盟国から支持を得ている。中国やキューバ、ロシアのような国は、人権記録が酷いものだが、人権理事会の理事国に選出される可能性は排除できないとの見解を示した。