【大紀元日本4月18日】ロイター通信社14日の報道で、中共側は150億米ドル(約1兆7850円)を費やして、胡錦濤総書記の訪米にレールを敷いたが、米国の対中貿易赤字は今年に入っても急増しており、胡総書記の訪米は米中貿易の衝突を悪化させる結果をもたらす可能性があるとみられる。また、「ビジネス・ウィークリー」紙によると、ワシントンは胡総書記の訪米を国賓として応対するか否かによって、米国の対中国姿勢が示されるとみている。米国は強硬姿勢を貫く場合、ワシントンは中国の独裁共産党政権の合法性を否定することの表しであるとみられる。
対中強硬派のチャールズ・シューマー上院議員は、中共側の為替相場操作および不公正な貿易政策に対して譴責したため、北京側は大金を費やし、海賊版ソフトウエアや知的財産権侵害に対して制裁することを約束した。しかし、これらは中国の貿易黒字を制御したとは言えない。昨年同期比、中国の今年の貿易黒字は3倍に上り、1020億米ドル(約12兆1380億円)に達し、今年前四半期だけでも昨年全年度の41%を占めることとなった。
メリルリンチ証券のアジア首席経済学者ボンド氏は、「巨大な貿易黒字が人民元を支えたとし、米国は中共に対して為替の改革及び経済の圧力緩和を求めるのであろう」との見解を示した。
一方、北京側は7日に、ワシントン側の希望に沿って市場為替の推進を継続するとし、昨年7月中国元における2・1%の上昇は一過性であることを強調し、人民元は再び上昇しないと示唆した。現在、中国元の上昇は1・16%に留まり、1米ドル=8・0172元である。
ワシントン国際経済アカデミー主任フレド・バーグステン氏は、米政府および国会は中共の貿易黒字の増加に対して失望していると述べた。これまで、人民元に対して20~40%を過小評価したため、米中の貿易赤字は2005年に2020億米ドル(約24兆380億円)に達し、今年は3000米ドル(約35兆7000億円)まで増加する可能性もあるとの意見を示した。バーグステン氏は、人民元の協調は依然と行わなければ、米国は貿易保護政策を講じざるを得なくなるとの見解を示した。
また、カナダのアルバダー大学・中国研究所の姜文然(ジャン・ウェン・ラン)氏は、「ビジネス・ウィークリー」紙で、貿易赤字問題のほかに米国は、中共側における長い間に続けられた知的財産権侵害による損害が甚大であると指摘した。また、北京側は石油産出国と緊密に行き来することも、米側は国家安全および中共がラテンおよび南アメリカへ勢力拡大に警戒する。
一方、中共側は米国に対して、陳水扁・台湾総統の台湾独立を反対することに同調させることが主な目的であるとみられる。その代わり、北京側は米国の牛肉および医療設備を開放し、ソフトウエアの違法コピーを取り締まるなどを約束し、ボーイングジェット機、モトローラ社のネット装置およびその他米国製品を購入するなど、162億米ドル(約1兆9278億円)に相等する契約を結んだという。
中共側にしてみれば、米国より注目される歓待は、胡総書記の国内政治および海外における国際的イメージにとって重要であるとみられる。しかし、ホワイト・ハウスは胡総書記を国家最高級幹部として迎えることに留まるという。米国人も胡総書記の訪米は「国事訪問(国賓訪問)」ではないとの見方が多いという。
また、米議会の中での反中感情が高まっている現在、一般の米国人も北京に対して嫌な感情をもっている時に、ブッシュ大統領は中共の最高指導者に対して点数を加えたくもないであろう。ブッシュ政権にとって、中共が真に米中双方における一連の難問を厳粛に解決するかどうかが最重要であるのだ。
中共政権は昨年、ブッシュ大統領の訪中で、国賓として迎えたことに対して、胡総書記が米国で同様な対応を望んでいるとみられる。しかし、米国にとって、発展している中国経済がもたらした影響およびその他の領域における変化があっても、一党専制の国家に変わりがないとし、ワシントン側は中共独裁政権を合法的であることを認めていないのだ。ブッシュ政権は自らの問題を抱えているが、世界における民主改革の先駆者でありたいため、米中は矛盾したイメージを共存しているのだ。
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