【大紀元日本3月24日】日本外務省は23日、平成17年度の対中円借款の審議を先送りする方針を公表した。塩崎恭久外務副大臣は23日午前の会見で「政府、自民党の中で様々な問題について議論があり、調整にしばらく時間がかかるので、年度内の供与の決定は見合わせざるを得ない」と述べた。靖国神社の参拝や、東シナ海のガス田開発などの問題をめぐって、中共政権の対応に自民党内から批判が高まり、 それを受け日本外務省が今回の判断を下したもよう。
小泉純一郎首相は同日夜、記者団に対し「日中全体の状況を考えながら(対中円借款の)調整をすればいい。北京五輪前にもう円借款をやめようということになっている」と述べた。
安倍晋三官房長官は同日午前の会見で、「日中間をとりまく諸般の情勢を受け、政府内の調整に時間がかかるため、決定を見送った。これまでの日中間の協議を踏まえ、未来志向の日中関係を築いていくとの方針に変わりはない」と述べた。
対中円借款は1979年から実施し始め、ピーク時の平成十二年度は約二千百四十四億円に達し、その後徐々に額が減らされ、十六年度は約八百五十九億円を提供した。これまで日本による中共政権への無償の資金援助はすでに10億ドルに上り、円借款総額も300億ドルを超えた。日中両政府は対中円借款を2008年の北京オリンピック前までに打ち切ることで合意しており、塩崎氏は十七年度分の提供については「しかるべき時期に供与決定を図りたい」と述べた。
慣例では毎年の3月末までに内閣閣議で新年度の対中円借款を審議するのだが、今回この審議は4月以降の新年度に先送りされた。両国の冷え込んだ政治関係を象徴する出来事だ。
中国外交部の秦剛副報道局長は23日の記者会見で、日本政府の決定について「中日双方の合意に基づき、円借款問題を円満に終了させることは両国の利益になる」と発言し、「日本側の一方的な決定は日中の関係改善につながらない」と非難した。さらに、両国による対等な協議で問題解決に臨むべくとの方針を示し、日本政府の動きをけん制した。
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