河南省:公的権力を乱用、工場閉鎖を強行、3万人が失業

2006/03/02
更新: 2006/03/02

【大紀元日本3月2日】河南省新郷政府は昨年年末に、地元28社の個人企業セメント工場を強制的に閉鎖させたため、雇用されていた3万人の生活保障がなくなり、投資者の財産権侵害問題が生じたため、これまでデモ行進、上訴、法的手続きを行ってきた。しかし、政府当局は一向に応じないでいる。法学専門家らは、同事例は、陝西省北部の油田事件と似ていると指摘し、今回の場合は、解決するには、あらゆる方法で取り組む必要があると示した。

アジア自由ラジオが伝えたところによると、河南省新郷市輝県政府当局は、環境保護を理由に28の企業に対して、自主的に工場の閉鎖および設備の廃除を求めたが、公的書類や通知書は一切提出していなかったという。その上、当局は電力会社に対してそれぞれのセメント工場へ供給する電気を切断させ、商工局に手続きを踏まずにそれらの企業の営業許可証を取り消しさせたという。

投資者らは莫大な損失を蒙ったほかに、工場および関連会社の職員ら3万人強が失業の羽目に陥った。企業側の代理弁護士・竇文烈氏はインタビューに対し、すでに一週間前に河南省裁判所に提訴したが、裁判所側から理由も述べずに受理を拒否されたと語った。企業側はこのほど、上訴書類および一万人以上の署名を持参し、北京へ陳情に出かけたが、またも受理されなかったという。

また、失業した職員らは昨年12月末に、輝県政府当局に対して陳情したが問題解決に至らなかった。2006年1月6日、約3000人の職員が省政府へ上訴する際に、輝県政府当局の干渉および阻止を受けた。

もう一人の代理弁護士・張星水氏は2月28日、インタビューに「受理されなかったため、我々は別の方法を取り、新聞メディアを通じて注意を喚起し、専門家のよる検証を通じて、同事件に関心を寄せるように促した。勿論、国家最高機関である「人民信訪弁」や「最高人民裁判所」への上訴も考えられる」と述べた。

情報筋によると、28社は殆ど市および県の政府環境保護部門が主宰する環境保護標準検査を受けており、その内の数社は同検査では環境保護優秀企業にされたという。企業側は、政府当局の行動は利権が絡んでいるとみている。竇弁護士は、今年に入って、公的資本によるセメント工場が多くできており、また、保留された3社のセメント工場の所有者は、ともに人民大会の代表であるという。

専門家論証会に参加した社会科学院法学博士・范亜峰氏は、陝西省北部の石油事件に次いで、公的権力を乱用し個人財産を侵害する典型的な事件であるとし、環境保護および財産権の価値観における衝突、または政府当局が同類事件を処理する際の効率化および公正さが問われると指摘した。范氏は、体制内における法的手続きを行うことは必要であるとし、体制内のほかにおける人権擁護のルートおよび技術手段の追及も避けては通らないことであると強調した。同氏は、インターネット、各種メディア、高智晟弁護士のハンスト・リレーは、すべてこの体制内で当然起こるべき人権擁護の技術的な手法であると示した。