【大紀元日本2月3日】情報筋によると、中共政権は近年、華僑団体による宣伝活動や、メディア報道、コンサートなどのキャンペーンを通じ、海外への共産党文化の洗脳戦略を密かに進めているといわれるが、中国で人気のテレビ番組「同一首歌」の同名のテーマソングが強制収容所での洗脳に利用されていることがこのほど法輪功関係者から明らかにされた。その巧妙かつ多様化した中共の意識戦略活動は人権と自由に影響を与えるとして、米国やカナダなどでは政府とメディアが警戒を強めているという。中共政権による対外宣伝工作の実態をまとめた。
コンサートなどによる共産党文化のキャンペーン
2006年1月中旬から、中共の政府メディア・中央電視台(CCTV)は、「同一首歌」をテーマソングとする共産党の新春歌番組をトロントやロサンゼルス、ニューヨークで巡回公演した。「同一首歌」は中共による政治思想教育の重要部分として、愛国主義の歌曲と定められている、大学などでは、共産党を賛美する記念祭での定番ソングである。中国の強制労働収容所で法輪功学習者の洗脳にも利用され、刑務所や、メディア、党の定例行事などの場で、「同一首歌」は必ず歌唱される。多くの法輪功洗脳被害者は「『同一首歌』は究極に苦しかった洗脳体験を象徴してい
中共の巡回公演に反対する集会(大紀元)
る」と語った。
このキャンペーン活動は「愛国主義」教育の宣伝道具で、海外華僑の民族情緒を扇ぎ、実質上には中共による意識戦略の一環であり、中共の暴力文化を海外に輸出しようとの目的が潜んでいる。中共政権の対外国組織「国家外国専家局」の官僚・陳偉源氏は2005年10月26日、著作でこう語った。「文化は『柔軟な国力』であり、国家意識の伝播において、政治や経済ルートでの外交より、外国人に歓迎されやすく、受け入れやすい利点がある。相手国が知らないうちに感化され、浸透され、そのパワーは軽視できない。まったく意識することなく、知らないうちに影響されてしまう」。
後の調査では、同歌番組の海外巡回公演は、法輪功集団迫害を主導するゲシュタポ組織「610オフィス」の指令によって実現したことが明らかになった。
国際司法協会や、米国の世界人権組織、国際人権の法律プロジェクトなどの団体は1月20日、ニューヨーク市南区の裁判所に、怨恨を宣伝する番組を制作、拡散したとしてCCTVを提訴した。番組主催者もマネー・ロンダリングや、汚職、違法移民などの疑いで、FBIと国土安全部の調査を受けている。
1月30日中共政権はニューヨークの国連本部で2回目の新春公演を開催した。
華僑団体などを海外での共産党の配下に
中共の政府メディア新華社通信は、「対外国宣伝の有効性を調査研究する」特別チームを設立し、海外の華人と留学生について、「このグループも我が国の対外宣伝のもう1つの重点対象だ…。現在、国外に在住する華人は数千万人に達し、一部の人は所在国の主流社会の一員となり、影響力がある精鋭人物も少なくない。多くの外国人は華人を通じ中国を了解しようとしている。そのため華人社会は独特な橋渡しと放射作用を果たせる」と工作目標を定めた。
もっとも典型的なケースはサンフランシスコの中華総商会である。この華僑団体の実質権力者・白蘭氏は、前国家主席・江沢民氏の親友で、彼女は長期的に中共領事館と緊密な関係を保ち、国内では国賓扱いされている。白氏は頻繁にカリフォルニア州の政府官僚による中国への訪問を斡旋し、市議会で中共政権の法輪功集団迫害を譴責する決議案を審理する際には、背後で議員らに圧力をかけるなど、決議案の否決を懸命に働きかけた。
市政公聴会での白蘭氏(大紀元)
中華総商会の代表者らは中共を擁護する立場を明確に表明し、主催する2月12日の華人新春パレードでは、法輪功団体の参加を今まで同様に再度拒絶した。
このような事態を憂慮した市の参事官クリス・デイリー(Chris Daly)氏は、サンフランシスコ議会で再度法輪功迫害を譴責する決議案を提出し、1月31日に議員によって投票表決する予定。そのため白蘭氏は主流社会と華人地区におけるすべての人脈を動員し、怨恨宣伝を繰り広げ、さらに中華街で法輪功を反対する署名活動を展開している、結果いままで中立立場にあるメディアと人々も法輪功を攻撃し始めた。中国語誌「アジア週刊」(Asian Week)は1月12日号の封面で、クリス・デイリー参事官の顔写真を載せ、「出って行け」(Butt out)との文字を印刷した。この週刊の社長・方以偉氏は中共指導部の高官・黄菊氏の
娘婿である。
中華総商会と白蘭氏の行為は差別と誹謗にあたり、米国憲法に保障されている人権と自由を厳重に損害したとして、同地区の法輪功学習者は彼らを裁判所に提訴することを検
討している。
去年6月豪州で政治亡命した中国駐シドニー領事館の元外交官・陳用林氏によると、中共政権は在外公館を通じ、法輪功への迫害を世界各地に拡大している。「愛国宣伝」と経済利益の提供で、共産党寄りの華僑リーダーと影響力のある中国語メディアを買収し、彼らを利用して華人生活区で詐欺宣伝を繰り広げ、法輪功学習者に対する怨恨を植え続けているという。
サンフランシスコでは、華人が多く居住し、長年来中共による党文化宣伝の重点地域となっている。この地区では中国共産党資本によるメディアや、ビジネス、不動産などの投資が盛んでおり、華僑団体も多く存在する。そのため市政府も中共による経済と政治の圧力を受けている模様。一方中共は領事館を経由して、経済利益で政界や、産業界と華僑関係者を誘致し、代言者にする丸め込み作戦を展開し、場合によっては、スパイ活動を要求するという。
カリフォルニア州では近年華人によるスパイ活動が相次ぎ摘発されている。ロサンゼルスの華僑リーダー陳文英氏も、やはり共産党と緊密の仲であり、これまで華僑団体による反法輪功活動の陣頭指示を取ってきた。去年陳氏はFBIに二重スパイとして逮捕され、2人の米国人男性も彼女のスパイ活動に関与したとして身柄拘束された。去年の11月ごろ、共産党の側近麦・ダーホン氏夫婦と弟の麦大志氏夫婦は米軍先端ハイテク兵器の情報を窃盗した容疑で、FBIに逮捕された。去年9月華人女性デニス・ウ氏は、米国国防省の機密資料を漏洩した容疑でFBIの調査対象となった。
海外メディアを利用した対外宣伝工作
中共対外宣伝事務局の主任・趙啓正氏は、対外宣伝は人の心を掴み取る「工作と闘争」だと形容し、「海外輿論は我々を追随するように仕掛け、…米国などの欧米主力国家で主動的に中国の宣伝を行い、世界輿論を誘導する目的を果たす。この工作には高い芸術性が要求され、さらに全局を制御できる戦略性も必要」と発言していた。
2年前に海外の中国語メディアをコントロールするために、中共政権の14の政府部署が連合で専門の協調機構を設立した。中共政権の政府メディア・CCTVや、新華社、人民日報海外版などが海外各地に上陸させる。一方では経済支援や買収などの手段で、鳳凰衛視や、星島日報など海外中国語メディアを傘下に収めた。
米国のジェームスタウン財団は、中共は北米の中国語メディアに介入するために、多大な努力を費やしたと指摘している。それによると、米国の4大中国語新聞、世界日報や、星島日報、明報と僑報は全部中共から直接または間接的に制御され、報道のスタンスは中共政権と瓜二つだという。星島日報オーナーのサリー・アウ・シアン氏はすでに中共全国政治協会の委員となった。
しかし、中共によるこうした工作はすでに欧米国家の政府とメディアに警戒されている。中共政権は最近カナダで9つのチャンネルの放送許可を申請したが、カナダの主流メディアはこの行動を疑問視し、「カナダ社会への共産党文化の宣伝」などとして否定的な意見を寄せており、民間団体や市民個人から進出に反対する嘆願書が多数カナダ政府関係部門に提出された。
中共政権による国民への集団迫害を調査・追及する国際民間組織・「追査国際」は調査報告書の中で、「中共の対外宣伝は冷戦終了後に、共産独裁政権が民主国家に仕掛けた戦火が見えない戦争であり、精神意識の分野で民主社会を制御し、中共政権の世界戦略の達成を計ろうとしている」と分析した。