【大紀元日本9月14日】中国社会では現在、収入格差が拡大し、貧富の二極化は中国社会の調和に影響を与える重要な要素となっている。調査によると、中共当局が直ちに有効な措置を取らなければ、貧富の二極化問題は2010年以降に社会の不安定を引き起こすという。米国VOAが伝えた。
中共中央党学校の「学習時報」に先月掲載された記事によると、中国社会には高度に重視すべき新たな問題がいくつか発生している。その一つは、収入格差が持続的に拡大していることである。都市と農村間の格差、地域格差などの社会的格差もまた拡大を続けている。これらは、調和の取れた社会を構築していく上で一定の影響をもたらすとしている。
貧富格差拡大の直接的な影響は、社会における貧困問題の出現であり、社会における不公平感の顕在化である。民衆は、労働を通じて富をなすプロセスが正当である場合の収入格差に対してはある程度許容できるが、分配の不公平による格差、すなわち違法、汚職、犯罪によって財をなすことや不当な収入などを通じた不合理な貧富の格差に対しては、心情として受け入れることができず、大きな不満を抱き、強烈な反発を招くのは当然である。
2年間で収入格差が急激に拡大
中国日報の報道では、国家労働社会保障部労働賃金研究所の蘇海南・所長は、2003年以来、中国における収入格差が急激に拡大しており、現在の貧富の二極化は既に「黄信号」の警戒ラインに達しているとみており、今後5年以内に有効な措置をとることができなければ、2010年以後に社会の不安定を引き起こすことになるとした。
また、経済新聞の報道によると、中国は、この十余年来個人間の収入分配の格差が拡大を続けている。報道では税制の専門家・劉桓氏の話を引用し、現在の低収入階層、とりわけ賃金労働階層は税負担が最も重いグループである。最近、中国最高立法機関の審議にかけられた所得税法の改正案では、個人所得税の課税最低限を月収800元から1500元に引き上げることとされた、としている。
温家宝総理は、今年3月の全国人民代表大会と全国政治協商会議の両会開催期に発表した政府活動報告において、社会発展における問題が突出していることを指摘した。都市と農村間、地域間の発展格差や収入格差が過大であり、低収入者層の生活が比較的困難になっており、社会の安定に影響を与える要素が少なくない。
「調和の取れた社会は法律による保障に依拠」
法学教授の黄嘉華氏によると、現在存在する比較的突出した問題は、農民問題、貧富の格差の問題、安全事故等の社会問題である。解決の過程は漸進的なものとなるが、国家は現在、緊迫感を持っているという。
また、黄氏は次のように述べている、「貧富の不平等、下層の民衆が遭遇している問題は、我が国ではかくも深刻であり、人々を不安にさせるものである。このため、いまこの問題を提起することで、炭鉱事故や民衆の強制立退き問題に対する措置を取り、貧富の格差をできるだけ縮減することを希望している。生活の向上は一部分の人であってはならず、我々全体の生活が向上するようにすべきである」。
中共中央党学校が学生に実施したアンケート調査によると、彼らの心中で最も深刻な問題は、第一が「収入の格差」、第二が「社会の治安」、その次が「腐敗」であった。2005年の改革について、79・2%の学生が「収入分配制度」に注目していた。
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