【大紀元日本8月16日】衛生部の統計によれば、中国大陸では毎年約8万人が直接または間接的な抗生物質の使用により死亡しており、2種類以上の連合抗生物質及び広域抗生物質の使用者数が国際基準の30%以上を超えているという。
内情に詳しい者によれば、抗生物質は低コスト高利潤という利点があり、利益を追求する病院にとっては、よい収入源となっている。「人命を救い、負傷した人の手当をする」という人道的使命よりも、経営を重視する企業のような病院は、抗生物質を乱発するのである。医学界では、抗生物質の濫用により、抗生物質に耐性のある細菌が速いスピードで進化してしまうことを憂慮している。
抗生物質は現在、医薬市場において「最も暴利を得られるもの」
中国南部某都市の日報によれば、大多数の抗生物質は高値で販売されている一方、実際のコストは非常に低いという。単価は数十元から数百元(数百円から数千円)であるのに対し、それらのコストは往々にして数元(数十円)程度である。従って、通常の利益率は10倍以上に上る。抗生物質薬品のおかげで、多くの病院医師、販売者たちは大儲けし、抗生物質「依存症」になってしまったという。一部の人気の高い医師は、毎月の医薬品からのバックマージンだけでも1万元(約13万円)近くの収入を得る。普通の医師でも、毎月千元以上のバックマージンの収入があるといわれている。これらの高額な費用は、最終的に全て患者が支払わなければならない。
一部の医療機構では、「医薬品をもって医師を養う」という現象が現れている。利潤の高い医薬品が多く勧められ、多く販売されるようになっているのである。医薬品の収入は病院の総収入の45%以上を占め、一部の農村(末端)の診療所に於ける医薬品の収入は総収入の80%に達している。
抗生物質濫用の実態
ある糖尿病、腎臓病、網膜病理変化、高血圧などを患っている患者が入院中、尿道及び肺の感染が発見され、病院側は直ちに抗感染治療を行った。その後、患者は次にカビ菌に感染したと診断され、医師は抗カビ感染治療を行った。最終的にこの患者が使用した抗生物質は5種類に達し、合計33,063元を支払った。当患者が支払った総費用の16.1%を占めたという。
また、糖尿病患者の呂氏は、アキレス腱が切れたことで17日間入院した。入院中にゲンタマイシン(gentamicin)、エチマイシンン(etimicin)、セファクロル(cefaclor)、セフォビッド(cefobid)等5種類の抗生物質を使用、掛かった費用は10,628元で、総医療費用の60%を占めたという。
福建省福州市のある子供病院では、医者にかかっている子供の70%があらゆる種類の抗生物質の注射を受けている。抗生物質の濫用により、子供の呼吸器及び消化器系が細菌感染によって発熱しても、短期間の薬と注射だけでは治らず、往々にして大量の抗生物質を使用しなければ良くならないと、当該病院の救急室担当医は嘆いている。
福州市の李氏は、急性盲腸炎にかかり、今年の4月に福建省のある「三甲(三級一等。良い医療設備、良い医者、良い診療水準を有する)」レベルの病院に入院した。李氏は最も基本的な治療を受け、19日間入院した。掛かった抗生物質の費用は13,000元だった。総医療費用の63%だった。
中国では、経済が発展している地区での抗生物質の使用が過剰であり、治療も長期間に及び、必要のない薬の使用頻度も多いという。逆に、経済発展の進んでいない地区では、抗生物質の用量が不足したり、治療期間が短すぎたり、偽薬が出回るなど、薬不足の現象があるという。その結果、感染源である細菌やウイルスを徹底的に壊滅することができず、耐性菌が生じる結果となっている。抗生物質の過剰使用と薬不足のような状況は共に耐性菌の大量出現の原因に繋がるといわれている。
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