マスクがトランプのために最強無人機を開発!?

2024/12/05
更新: 2024/12/05

世界を驚かせた軍事トピックがある。マスク氏は世界最強の戦闘機を「時代遅れのガラクタ」と呼んでいる。彼の自信の表れか、それともただの暴言か、掘り下げてみよう。マスク氏は、アメリカの最先端戦闘機F-35を公然と「時代遅れ」と批判し、無人機こそが空中戦の未来であると主張する。F-35はアメリカが世界に誇る主力戦闘機だが、なぜ否定するのか? 無人機がF-35を凌駕する時代が来るのか? 無人機は世界の軍事情勢にどのような影響を与えるのか?

米軍の切り札が世界を威圧

まず、マスク氏が批判しているF-35戦闘機について見てみよう。F-35はアメリカの第5世代ステルス戦闘機で、世界最強の戦闘機とされ、アメリカの戦闘機技術の頂点だ。現在、世界中で1千機以上が配備され、インド太平洋地域でもアメリカは同盟国と共に活用している。

配備状況では、オーストラリア、日本、韓国などの主要同盟国がF-35を積極的に購入している。オーストラリアは63機、日本は36機、韓国は40機を保有し、追加の注文も行っている。特に日本では、米軍が青森県の三沢空軍基地にF-35Aを配備し、岩国航空基地には空母艦載機F-35Cを駐留させており、これらの動きは中国共産党(中共)を意識したものだ。

多くの国でF-35が購入されている理由は明白だ。中共の脅威だ。中共は台湾海峡や南シナ海で挑発を繰り返し、台湾周辺の空域を撹乱し、南シナ海ではフィリピンの補給活動を妨害し、緊張が高まっている。F-35の配備は同盟国の防衛能力強化だけでなく、中共に圧力をかけている。

性能についても見てみよう。中共のJ-20はステルス戦闘機だと自称しているが、技術的にはF-35に大きく遅れをとっている。J-20のカナード翼がステルス性を弱めるため、F-35は遠くからでも検知できる。さらに、中共は核心技術、特にエンジンの性能不足を解決できておらず、これは深刻な問題だ。

一方、F-35はすでに戦場でその能力を証明している。2018年、イスラエルはF-35をテロ組織への攻撃に使用し、実戦で優れた性能を発揮した。では、J-20はどうか? まだ宣伝映像にしか登場していない。

さらに重要なのは、F-35が強力な統合作戦能力を持っている点だ。F-35は同盟国の戦闘機とデータを共有し、協同作戦が可能だ。米日韓などの多国間合同演習で、高度な相互運用性を示し、敵を圧倒する作戦ネットワークの迅速な構築を実証した。このため、世界で千機以上のF-35が導入され、空の優位を保つ中心的役割を果たし、中露などの対抗勢力に対し抑止力を持っている。

つまり、F-35はアメリカの切り札であるだけでなく、インド太平洋地域の同盟国にとっても強力な武器であり、中共を取り囲む無形のネットワークを作り上げている。

では、なぜマスク氏は、この切り札を価値がないと批判するのか? 彼は「F-35のような有人戦闘機をまだ作っているなんて馬鹿げている」と述べている。

マスク氏の批判

F-35の問題は高コストだ。政府説明責任局(GAO)の試算によると、F-35の生産と維持にかかる総コストは2兆ドルを超え、1機あたりの単価は1億ドル以上に達する。維持費はさらに高く、全寿命期間のコストを考慮すると、F-35戦闘機1機の総コストは6億ドルを超え、そのうち運用・維持費が70%を占めている。

したがって、マスク氏の批判は衝動的なものではなく、新任として、彼の最初の仕事なのかもしれない。マスク氏はラマスワミ氏と共に、トランプ次期大統領によって「政府効率化省」長官に任命された。その任務は、政府支出削減と官僚機構の簡素化だ。

マスク氏とラマスワミ氏は「ウォール・ストリート・ジャーナル」に寄稿し、連邦政府の予算問題を厳しく批判し、国防総省の無駄遣いを指摘した。

両氏は、「国防総省は7回連続で監査に失敗した。これは、幹部が毎年8千億ドル以上のお金の使い道を全く把握していないことを意味する」と述べている。

マスク氏は、無人戦闘機を重視すべきだと考えている。それは無人機戦争の台頭と空軍の調達競争力を高めるためだ。彼はF-35の設計が「万能」を追求しすぎた結果、特に優れた機能がない状況になったと批判し、「F-35の設計は要求段階で破綻していた。あまりにも多くの要求を受けたためだ」と述べている。

空中戦の未来

マスク氏の発言には賛否あり、軍事に理解がないという専門家もいれば、無人機の支持者は歓喜の声を上げている。では、なぜマスク氏は無人機が未来の鍵だと言ったのか? 無人機はロシア・ウクライナ戦争で現代の戦場を一変させ、重要な戦術的ツールとなった。無人機は低コストで柔軟性が高く、リスクが低く、偵察、妨害、精密攻撃など、あらゆる機能を持っている。

ロシア・ウクライナ戦争では、ウクライナ軍がTB2無人機でロシア領内へ長距離攻撃を数回行い、成果を挙げた。また、低価格の自爆無人機やスイッチブレード、改造自爆無人機を使用し、ロシア軍に大損害を与えた。無人機の厳しい経験を経たロシア軍も無人機部隊の構築を始めている。この戦争は完全に無人機戦争に変わり、機種は戦前の約20種から現在は70種以上に急増し、従来の戦争形態を根本的に変えた。

ロシア・ウクライナの戦場では、小型無人機が飛び交い、戦車は生ける標的となり、すぐに発見され破壊される危険がある。期待されていた欧米の先進的な戦車も、現在は使用を控えている。価格1千万ドルの戦車M1エイブラムスはすでに6台が破壊された。各国の軍も戦術を調整し、戦車の機動性を向上させ、無人機対抗技術を導入している。

2023年末、フーシ派はわずか2千ドルの無人機で米軍の駆逐艦を攻撃し、米軍は防御のため200万ドルのスタンダードミサイルを使用した。これらの数字は、非対称戦争における無人機の高いコストパフォーマンスが従来の武器に対して大きな課題をもたらしていることを示している。

2024年4月、イランによるイスラエルへの空爆では、170機の無人機と数百発のミサイルを発射した。イスラエルの防空システムは攻撃を撃退したが、防空ミサイル1発のコストは無人機の数倍から数十倍だ。

アメリカは無人機の戦略的価値を実際の配備を通じて示している。例えば、台湾海峡での「地獄絵図(Hellscape)」戦略では、数千の無人潜水艇、無人水上艦、無人機を配備し、中共軍の艦隊による台湾上陸を困難にし、海峡全体を「地獄」に変え、侵攻を阻止する。これは米軍インド太平洋軍司令部のパパロ司令官が明らかにした内容だ。

実際、アメリカの無人機技術は非常に進化しており、数年前にはステルス機能を持つ超音速無人機を開発し、航空母艦での離着陸が可能になった。さらに、無人機による戦闘機への空中給油技術も実現している。現在はAIを活用した自律制御の無人機技術で新たな突破口を開いている。以前は、MQシリーズなどの高度な無人機でも地上の人員による遠隔操作が必要だったが、「ヴァルキリー」無人機計画の進展は新たなマイルストーンを示し、機械が人間に代わって空中戦を行う重要な一歩を踏み出している。

2021年3月26日、XQ-58Aヴァルキリー無人機がアリゾナ州ユマ試験場でのテスト中に、内蔵された弾薬コンパートメントからAltius-600小型無人機を放出した(アメリカ空軍)

無人機が覇権を握るか?

マスク氏は2020年に、アメリカはAI駆動の無人機でF-35を置き換えるべきだと提案し、「F-35は全く勝ち目がない」と明言した。現在、トランプ氏と密接な関係にあるマスク氏は、果たしてトランプ氏の無人機開発を支援し、軍事力強化を推進するのだろうか?

ニューズウィークの11月27日の報道によると、トランプ氏は就任後にマスク氏と協力し、66年の歴史を持つNASAを大規模に改革する予定だ。宇宙防衛はトランプ政権の重要課題の一つで、急成長を遂げる中国の宇宙計画に対抗するため、NASAとSpaceXの協力を進め、アメリカが宇宙の覇権を維持し、中国を抑え込むつもりだ。宇宙軍は2017年トランプ政権第一期に設立し、彼はこれを常に誇りに思っている。

マスク氏のSpaceX社は火星植民計画を進めており、トランプ氏就任後、この計画がNASAの優先事項の一つになる可能性がある。トランプ氏はSpaceXのスターシップ打ち上げを視察し、マスク氏の宇宙計画を支持した。そのため、両氏の宇宙探査における協力の可能性が広がっている。

軍事用無人機での協力の可能性も高いだろう。最近、トランプ氏周辺のテクノロジー業界の大物たちは、有人航空機や戦車よりも、無人機がより低コストで任務遂行できると主張している。例として、防衛関連スタートアップに投資しているベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセン氏などがいる。もちろん、マスク氏が最も注目されている。

実際、世界各国、特にアメリカでは、有人戦闘機と連携する無人機を「ロイヤルウィングマン」と呼び、将来の空中戦の発展方向として位置づけている。だから、F-35と無人機は二者択一の問題ではなく、互いに補完し合い、相乗効果を生み出す存在と考えられている。少なくとも現時点ではそうだ。

マスク氏は超天才だ。彼が設立したSpaceXは現在NASAに代わって衛星を打ち上げており、国家機関に挑戦するイノベーションと技術力を証明している。マスク氏の技術は、無人機に多くの貢献が可能だ。

例えば、テスラの自動運転技術は、無人機に自律飛行能力を提供できる。SpaceXのロケット技術は、無人機の長時間飛行能力や迅速な配備能力を向上させる。バッテリー技術は、無人機の滞空時間を延ばし、戦場での継続的な運用を可能にする。

感謝祭での動画では、トランプ氏とマスク氏が夕食を共にし、末っ子のバロン氏と夫人もいた。トランプ氏がマスク氏の肩を軽くたたくと、マスク氏はすぐに手を挙げて踊り出し、ネット上では「トランプ氏が新しい息子を養子に迎えた」と冗談を言っていた。両氏の連携は、アメリカにさらなる革新と強力な技術をもたらすだろう。

トランプ氏とマスク氏の時代が到来しつつあり、マスク氏の「最強無人機」計画は、この変革の鍵となるかもしれない。コスト削減や作戦効率の向上、自律的意思決定や無人機の群れを使った連携戦術など、これらが未来の空を支配するだろう。無人機時代はすでに到来しており、マスク氏の技術革新が、世界の軍事ルールを変える可能性がある。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
唐青