【プレミアム】二大超大国の共謀 – プーチンの狙いとは? 習近平から何を求めるのか?

2024/07/30
更新: 2024/07/30

中国最高指導者、中国共産党(中共)の党首である習近平は頻繁にロシアプーチン大統領と会談し、両国のリーダーが統一戦線を示す姿を見せている。しかし、両者の目的は異なる。

プーチン大統領は、ウクライナ軍がアメリカから武器を補給される前に戦局をエスカレートさせ、中国が信頼できるパートナーであることを確認したいと考えている。一方、習近平は戦略的パートナーとしての「古い友人」を支援しつつ、ロシア支持によって西側諸国との関係がさらに悪化するのを避ける必要があると考えている。

このような背景の中、プーチン大統領が国賓として中国を訪問した。さらなる支援を北京へ求めてくることは明白である。ロシアがウクライナに侵攻して以来、西側諸国による制裁を受けているロシアにとって、中国は重要な生命線となっている。中国はロシアから大量の石油を購入し、モスクワが経済的に孤立しないようにしている。また戦争の機械を維持するための技術支援を提供している。

数日前、アメリカは中国がロシアを支援していることを非難し、中国企業を制裁対象とするリストを発表した。習近平は、中国とアメリカの競争においてロシアが重要なバランサーであると考えているが、同時に中国の経済復興に重要な貿易パートナーであるヨーロッパとの関係が悪化するリスクも抱えている。

香港は、ロシアへの戦争物資の補給基地となっている。7月25日、ウクライナのドミトロ・クレーバ外務大臣が香港を訪問し、香港特別行政区の李家超行政長官に対し、ロシアは香港を利用して西側の制裁を回避しようとしている。これを阻止するよう呼びかけた。

失われた自由、転じた役割 香港は中共の世界侵略の道具となったのか? (Photo by Anthony Kwan/Getty Images)

習近平が2023年3月に異例の三期目の国家主席に就任してからの、初めての外遊先はロシアである。これはプーチン大統領に対する敬意を示すものであった。

ビデオ会談を含め、習近平とプーチン大統領は40回以上も会談しており、他のどの指導者よりも多くの会談を行っている。両者はしばしば誕生日を祝ったり、「古い友人」や「親愛なる友人」と呼び合ったりして、深い個人的な関係を築いている。

プーチン大統領は、習近平を「アメリカがロシアの台頭を阻んでいる」と非難する人と同じような考えを持つ専制的なリーダーと見ている。両国の首脳は、ロシアがウクライナに侵攻する数週間前に「限りない」パートナーシップを発表し、アメリカの覇権に対抗することを表明した。

桜美林大学の地政学教授、菅沼雲龍氏は大紀元に、「プーチン大統領は冬季オリンピックの際に北京を訪れている。ロシアが戦争を引き起こす前に、習近平と何らかの合意に達したと推測している」と述べた。「習近平は台湾を飲み込みたがっており、プーチン大統領とその合意を結んだ」

プーチン大統領は冬季オリンピック終了後にウクライナへの侵攻を開始した。習近平は裏でロシアを支持すると約束し、ウクライナが攻略された後、中共は台湾に手を伸ばし、プーチン大統領がその支援を行う計画であったという。

3月17日、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの侵攻を受ける首都キエフから映像中継を通じてドイツ連邦議会で演説した(Hannibal Hanschke/Getty Images)

習近平とプーチン大統領は、自分たちがアメリカの干渉を受けない世界新秩序の創造者であると考えている。両国のリーダーは、発展途上国の多国間組織を推進し、それを西側に対抗する手段としている。彼らは、アメリカ主導のグローバルシステム以外にも選択肢があることを他の国々に示そうとしているのだ。

「ロシアと中国の関係は歴史的に最高水準に達しており、厳しい国際情勢に直面しても両国の関係は強化され続けている」と、プーチン大統領は訪問時に中国官製メディアに対して述べた。

中国はロシアに致命的な武器を提供しないと約束しているが、実際には中国はロシアに衛星情報や戦闘機部品を提供しており、マイクロチップ、工作機械、光学機器、電子センサー、通信機器などの軍民両用部品も供給している。

プーチン大統領は、このような部品や装備の供給を継続的に得ることを望んでおり、戦争の激化と共にロシア軍の勢いを維持するために必要だとしている。また、プーチン大統領はさらなる貿易や商業協定の締結も求めている。

ロシアと北朝鮮が戦略的合意に署名した後、韓国はウクライナへの武器供給を検討すると述べた。 平壌での2国間会談後、共同記者会見を行うロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩委員長(Kristina Kormilitsyna/POOL/AFP via Getty Images)

習近平は、ロシアとの同盟を維持しつつ、西側との関係を安定させ、中国の弱い経済をテコ入れしようとしている。このような姿勢を両足戦略と呼ぶ専門家もいる。

中国はウクライナ戦争について中立を保ち、平和の支持者であると主張している。中国は曖昧な12項目の政治解決案を提示し、特使を派遣してヨーロッパでの調停を行っている。

西側諸国は中国の努力をあまり評価しておらず、特に中国がロシアに対してウクライナからの撤退を要求していないことに不満を示している。中国は、北大西洋条約機構(NATO)の拡大がモスクワの侵攻を引き起こし緊張を招いたと非難している。

習近平はロシアの戦争を非難することを拒否し、結果として中国と西側の関係は悪化し、ヨーロッパが安全保障問題でアメリカと一致することが増えた。これにより、中国の欧州連合(EU)との貿易戦争を回避するための努力は難航している。中国とEUは、中国製EVの輸出や欧州企業の市場アクセス問題で対立している。

中国とアメリカの緊張関係はさらに激化しており、昨年11月にカリフォルニアで行われたバイデン大統領と習近平の会談で得られた初期的な関係緩和が試されている。バイデン政権は、中国からの輸入品、特にEV、太陽光パネル、半導体、先進的な電池に対する関税を引き上げた。

菅沼雲龍氏は、「習近平はロシアとアメリカの間で微妙なバランスをとりながら利益を得ようとしている。しかし、いずれこのバランスが崩れ、必然的な結末に至るだろう」と語った。

徐天睿
エポックタイムズ記者。日米中関係 、アジア情勢、中国政治に詳しい。大学では国際教養を専攻。中国古典文化と旅行が好き。世界の真実の姿を伝えます!
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