ベルギー検察当局は25日、ベルギーにあるNATOの軍事司令部で実習していた中国系のカナダ人女性を、スパイ活動に関与した疑いで逮捕したと発表した。
ベルギー連邦検察庁は声明で、「女性は第三国のためにスパイ活動を行い、犯罪組織の一員である疑いがある」と明らかにした。
声明によると、女性はベルギー南部モンスにあるNATO欧州連合軍最高司令部(SHAPE)で実習生として勤務していた。捜査中であることを理由に、女性の身元や、どの国または組織のために情報を収集していたのかなど、詳しい内容は公表していない。
SHAPEはNATOの最高軍事司令部であり、連合軍作戦司令部の本拠地でもある。同司令部はNATOのすべての軍事作戦を計画・実行するとともに、さまざまな脅威への対応を調整している。
NATOは欧州と北米の32か国で構成される安全保障同盟で、カナダとベルギーはいずれも加盟国である。NATOは2021年、中国共産党(中共)をロシアや中東地域の脅威と並ぶ「安全保障上の課題」と位置付けた。
AP通信によると、NATO加盟国の首脳らは、中共が国際秩序を損なおうとしているほか、不透明な形で軍備増強を進め、情勢の不安定化を狙った偽情報活動を行っていると指摘している。
また、中共の目標と行動は「ルールに基づく国際秩序や、同盟の安全保障に関わる分野に対する体系的な挑戦となっている」との認識を示している。一方、中共は、軍備増強は防御を目的としたものだと主張している。
検察当局の声明によると、女性の不審な動きにSHAPEの保安部門が最初に気付き、ベルギーの情報当局に通報した。その後、同国の軍情報機関と連邦警察が捜査を開始した。
捜査当局は23日、女性の自宅とSHAPE内の職場を捜索し、翌24日に逮捕した。
SHAPEの報道官は、今回の事件によって、NATOやSHAPEの即応態勢、指揮統制体制、進行中の任務が影響を受けたことを示す兆候はないと説明した。
報道官は「SHAPEは支障なく任務を継続する」と強調した。ベルギー連邦検察庁はロイター通信に対し、捜査が続いているため、現時点ではこれ以上のコメントを控えるとしている。
ベルギーには、ブリュッセル郊外にNATOの文民本部が置かれているほか、欧州委員会をはじめ、EUの数十の機関が置かれている。このため、これまでにも外国による諜報活動の標的となってきた。
昨年には、ベルギーの情報機関を狙った中共によるサイバー攻撃が明らかになった。また、中共とロシアのためにスパイ活動を行った疑いで、ベルギーの警察官が拘束される事件も起きている。
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