中国人「何も信用しない、常に警戒心」=中国政府系紙

2011/01/22
更新: 2011/01/22

【大紀元日本1月22日】中国の政府系紙・国際先駆導報は最近の報道で、中国国民は全般的に「すべてを疑う、常に警戒心を持つ」という心理状態に陥っているとし、このような普遍的な強い猜疑心はすでに社会の「精神疾患」となっていると警鐘を鳴らした。

「昔の中国人はすべてを信用していた。最高指導者に対しても、革命に対しても、資本主義が必ず崩壊し共産主義が必ず明るい未来を迎えるとの教えに対しても...。しかし現在ではすべてを信用しなくなったようだ。地方政権の発表を信用しない、メディアの報道を信用しない、ひいては身辺の人をも信用しない」と同報道は指摘した。

この種の「信用しない」心理状況はもはや、大多数の中国人の日常生活の隅々にまで浸透しているという。

例えば、「住」について最近、楼倒倒(倒壊しやすい建物)、楼脆脆(ポキっと折れる建物)、楼歪歪(傾いている建物)、楼薄薄(壁が極端に薄い建物)ということばをよく耳にする。

「食」については、偽タバコ、偽酒、偽卵、偽牛乳、下水道から汲み取った廃棄油、人造脂肪、カビ米、化学薬品につけて作られたモヤシ、避妊薬で育てられた魚、洗剤入りの油で作られたふっくらした揚げパン、などが氾濫している。

一歩家を出れば、街角で横行する「サクラ商法」に引きずり込まれないよう、常に身を構えていなければならない。

病院に行けば、偽薬、無免許の偽医者、不必要な診査と医療費の水増し請求をどうしても心配してしまう。

司法訴訟になると、裁判所は公正に裁いてくれるのかと心配になる。

そのほか、偽公文書、偽証明書、偽宝くじ、銀行の詐欺行為、偽ニュースなどにも中国人は日常的に直面する。

このような普遍的に存在する警戒心・猜疑心はすでに社会の「精神疾患」となっており、偽者・偽物を信じない、ひいては真実をも信じない。「すべてを疑うという心理状態が社会全体に浸透してしまうと、中国人の幸せはどこにあるのか」と同報道は疑問を提起した。

また、同報道は最近の2つの事例を挙げて、中国人が地方政権の発表を信じない現状を説明した。

<事例1>

昨年12月25日、浙江省温州市楽清の元村幹部・銭雲会さんが村付近の国道で大型トラックに引かれ死亡していた。地元政府と警察当局は銭さんの死因は交通事故であると相次いで公表した。銭さんはそれまで農地の強制収用問題に抗議するため、村民を率いて陳情を繰り返しており、合わせて3回投獄もされていた。そのため、地元の村民やインターネット利用者は銭雲会さんの死は謀殺だと信じており、地元政府や警察当局の発表を信用しようとしない。

<事例2>

昨年11月、北京市の小学生・張皓くんは、父母と専門家の指導のもとで様々な実験を行い、北京の市場で流通するキノコの9割は漂白され、蛍光漂白剤を含んでいるとの調査結果を出した。

それを受け、北京市政府機関はその後の検査結果として、「北京市場の食用キノコの合格率は97.73%」と公表した。中国の食用キノコ協会もメディアを通じて、「小学生の実験結果を信じない」と発表した。

しかし、あるインターネットサイトが行った投票調査では、1100人以上の回答者が「小学生の調査結果を信じる」と答え、「政府機関の調査結果を信じる」と答えたのはわずか8人だった。

中国人のこの心理状態は、現在の中国社会に蔓延する「拝金主義による騙し」に由来するだけでなく、現政権以来の「反右派闘争、大躍進運動、文化大革命などを経て、多くの中国人は(身を守るために)本音を言わない、うそをつく、ということを学んだ」と報道は指摘した。特に地方政府やメディアなど、「国のため」という大義名分のもとで、嘘も正当化されているという。

(翻訳編集・叶子)
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