【大紀元日本9月16日】中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の劉明康・委員長は9月8日、国内経済発展の促進および社会の安定という目標を実現するために、中国の銀行業は資本およびリスク管理を核心とする長期的に有効なメカニズムを構築する必要があるという見解を示した。
同日、銀監会のオフィシャルウェブ・サイトで発表された劉委員長の談話の中で、劉委員長は、中国の銀行システムの潜在的なシステミック・リスクを無視してはいけないと警告した。また、金融機関の流動性リスクへの管理が弱く、クレジット管理モデルやストレステストの技術・方法も粗放であり、テストの結果を生かす面も改善の必要があると指摘した。
金融アナリストの曹文氏は、9月10日付「経済観察網」で、現在、中国の銀行システムのシステミック・リスクは主に、地方融資プラットフォーム、銀信提携(銀行と信託投資企業の業務提携)、不動産開発融資、不動産抵当融資の四つの面に集中していると語っている。地方融資プラットフォームと銀信提携におけるシステミック・リスクが非常に際立っており、不動産開発融資および不動産抵当融資のリスクはまだ潜在期にあるという。
特に警戒すべきリスクは地方融資プラットフォームのようだ。2008年11月に中国政府が「4兆元救済計画」を実施してから、各地方政府向けの融資が急増しているが、返済能力が楽観視できないのが現状だ。銀監会の統計によると、今年5月末の時点で、全国省レベル、直轄市レベルおよび県レベルの地方政府系融資プラットフォーム企業は8221社にのぼり、金融機関から総額7・6兆元の融資を受けたと言う。しかし、地方政府の財政収入力と地方融資プラットフォームの負債とを比べると、その平均負債率は97・8%に達しており、さらに負債率が200%を超える地方融資プラットフォームすらある。
一方、銀監会は、昨年から、国内の銀行に対して定期的にストレステストを行ってきた。8月末、交通銀行や建設銀行などの国内の主な上場銀行は、銀監会が事前提示した「主要都市部の住宅価格が50%下落する場合の各銀行への影響」というテーマで行われたストレステストの結果を発表した。各主要銀行のストレステストからは、住宅価格が50%下落しても、各銀行の不動産関連不良債権比率はわずか1.2%しか上昇しないという非常に楽観的な結果が得られた。
しかし、一部の業界人士はこの楽観的な結果を疑問視している。9月2日付「第一財経日報」によると、8月30日に発表された農業銀行の研究レポートは、今回のストレステストが住宅価格下落による金融機関にもたらすリスクを完全に反映していないことを指摘した。テスト漏れの点として、ストレステストは主に不動産開発融資および個人の抵当融資の貸倒れリスクを分析するもので、不動産を抵当にする関連融資のリスクを考慮していないこと、不動産開発には他の産業界も深く関わっているため、不動産価格が急落すれば、他の業界への融資が回収できるかどうかのリスクなどを挙げている。