【大紀元日本9月16日】中国大手ネット検索会社アリババは本年8月、10億米ドルに達する買収合併(M&A)を発表し、米国ヤフーの中国に於ける全ての権利とブランド使用権を獲得し、一方、米国ヤフー本社はアリババに10億米ドルを投資し、アリババの35%株式を取得したという。米ウォールストリート・ジャーナルは「ヤフーが中国トップのネット検索会社を買収合併」と大々的に報道に取り上げた。両者の報道角度は異なるが、今回の買収合併に明るい期待を寄せている。しかし、専門家らは、今回の買収合併について、また一つ国際的大企業が中国の風土に馴染まなく病に陥ろうとする事例が現れたとしか見ていないのだ。
いったい誰が誰を買収合併したのか
アリババ社のCEO(経営最高責任者)馬云(マー・ユゥン)氏は記者会見で、「我々はヤフーが中国にある全ての資産を買収合併したと理解している。そして、ヤフーはアリババに対して10億米ドルを投資し、経済利益の40%及び35%の表決権利を取得し、重要な戦略投資家と協力者になったのだ」と話した。馬氏の回答内容はヤフーの経営陣の見解と異っているのが分かる。ウォール街の投資家らは、やはりヤフーが中国のアリババを買収したことを信じたいという。何故なら、その方がヤフーは中国インターネット市場へさらなる拡大へ前進したように感じるからだという。
しかし、実際には、ヤフーは、中国に於ける経営は既ににっちもさっちも行かない現状にあり、幸いに、ウォール街で中国インターネット企業に対する投資熱の波に乗り、資本市場の株式による企業買収を行い、中国に対する投資を拡大する宣伝をしながらも、中国におけるヤフーの経営主導権をうまく譲ることができた。ヤフーは中国から慌てて逃げ出す窮地をこのようにカムフラージュしたのだ。
実際、ヤフーは中国という喉から手が出るほどの大きい市場を以前から狙っており、決して簡単に自らの市場を他人に譲ったり、委ねたりしないはずだ。しかし、事実と相反して、ヤフーはアリババと合併して、中国ポータルサイト、検索技術、即時通信及び広告業務、3721ネット実名サービスなどの中国資産を全量アリババへ引き渡したほか、ヤフー検索のブランド及び技術の使用をも許可したのだ。あまりの多くの譲歩は、豪気に構えていた、中国進出した当時とは比べものにならないのだ。
1999年9月、ヤフーは既に中国ヤフーを設立し、グローバルのサーチエンジンを中国で仕掛け、ポータルサイトと組み合わせた商業パターンを作ろうとした。しかし、ヤフーは中国では本当に立ち上がったことはなかった。甚だしきに至っては、ヤフーは自身の短期的利益のために、中共独裁政権に迎合し、いわゆる自主的にネット検索情報をろ過し、中共に反体制派のネット情報を提供すると示唆した。ヤフーのこのようなやり方は、全く自身の長期的利益を失い、中国人民の思想、言論の自由を犠牲にし、グローバルなサーチエンジン及びポータルサイトが持つべき態度及び品格に欠けているのだ。それ故、インターネット使用者の多くは使い慣れたポータルサイトを変更せず、ヤフーは中国ポータルサイトの最前線にも至っていなかった。
アリババを10億米ドルでの買収合併の背景
この買収合併の背景には、報道されていない内幕がある。ヤフーが提供した巨額の買収金の一部はアリババの株主が持っている株式を買収するために支払った。ここで、アリババ及びヤフーは共同の株主がおり、彼らは今回の買収案で利益のため、インサイダー取引に近いことをし、ヤフー及びその他の株主に対して損失をもたらしたことも考えられるのだ。これに関し細部の情報は合併公告や東西諸国のメディアにも一切報道されていなかった。
今回の買収合併が行われる数日前に、中国市場のサーチエンジンで1位にランキングされているバイドゥ(Baidu.com)社は、米国ナスダックに上場し、初日に3.5倍の上昇率をつけた。これがきっかけとなり、多くの投資家が中国インターネット市場の未来に対して期待を抱くようになった。一方、中国のインターネットの未来は限りない好景気を謳うヤフーはタイミングよく、10億米ドルでアリババの35%の株式を買収と発表した。このタイミングは、投資家が中国で経営不振になったヤフーに対する疑問を雲散霧消させ、ヤフーがアリババを買収する過程において株式価格が吊り上がる心配も解消したのだ。
ともかく、ヤフーは過去6年間において、中国に大量投資してきたにも係わらず、買収合併案において、全てをアリババに引渡し、さらに大量の資金を使いアリババを持ち上げることを約束したというのは、つまり、ベンチャー・キャピタル会社と投資銀行が中国で多額の利益を得るために念入りに練りだした資本運用案であるのだ。一方、中国での経営はリスクが極めて大きいと知りつつ、中国経済の高度発展による繁栄の虚像を利用し、中国での投資の失敗を言い逃れながら、一方、誇大な買収合併案で気勢を上げ、ヤフーはここ数年来の中国における経営不振を隠蔽しようとした。投資家らは今度こそ深く注意を払うべきだ。数年前の中国のインタネットバブルからの警告は決して忘れてはならないのだ。