「たかが交通違反の罰金」で、大人の男性が人前で泣き叫び、「もう生きたくない」と絶叫する。
日本では少し考えにくい光景かもしれない。しかし今の中国では、それほど生活に追い詰められた人が少なくない。
中国・浙江省杭州市で6月29日夜、配車アプリ運転手が交通警察に呼び止められ、違反を指摘された。罰金を告げた瞬間、男性はその場で崩れ落ちた。
「もう生きたくない!」
「一日100元(約2千円)しか稼げない!」
「義父は8か月もICU(集中治療室)にいる!」
動画では、「殴ってくれ!」「もう生きたくない!」と泣き叫び、感情を抑えきれなくなる様子が映っていた。
警察が科そうとした罰金額は明らかになっていない。ただ、中国では交通違反の罰金は数百元(数千円~1万円程度)となるケースが多い。
それでも男性が絶望したのは、罰金の金額ではなく、それすら払えないほど生活が限界に達していたからだ。
中国ではICUの入院費は1日1~5千元(約2万~10万円)に上ることもあり、高額な医療機器を使用すればさらに膨れ上がる。家族の医療費を抱えながら、一日の売り上げはわずか100元。罰金は、張りつめていた心を折る最後の一撃になった。
背景には、中国経済の深刻な失速がある。
不動産不況や企業の倒産で仕事を失った人々は、比較的始めやすい配車アプリやフードデリバリーの仕事に殺到した。しかし今では、その「最後の受け皿」でさえ人があふれ、十分な収入を得られなくなっている。
中国では現在、配車アプリ運転手が約750万人に達し、平均すると1日あたり一人が受けることのできる注文は4件程度だ。深圳市も「市場は飽和状態」と公式に注意を呼びかけている。
杭州で響いた「もう生きたくない」という叫びは、一人の運転手だけの悲鳴ではない。
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