経団連会長「秋以降にスタグフレーションへの暗転リスク」

2026/06/09
更新: 2026/06/09

日本経済は今、インフレと成長の狭間で重大な分岐点に立たされている。8日の経団連定例記者会見において、筒井会長は日本銀行の金融政策の行方と今後の景気動向について、これからの試金石となる見解を示した。中東情勢の長期化に伴う物価上昇リスクが日銀の利上げ判断を難しくさせる中、足元で堅調さを保つ日本経済には、秋以降に「スタグフレーション」へと暗転するリスクが潜んでいるという。

日銀の金融政策:インフレと経済成長の分岐点における難しい舵取り

次回の日銀金融政策決定会合において政策金利の引き上げが行われるかどうかが注目される中、筒井会長は日銀が不安定な国際情勢や国内の物価、春季労使交渉での賃上げ動向を踏まえ、市場と丁寧に対話しながら適時・適切に判断するとの見方を示した。

現在、日銀の金融政策の舵取りが非常に難しい局面にある背景には、長期化の段階に入りつつある中東情勢とそれに伴う物価上昇リスクがある。特に判断を難しくしているのは、エネルギー価格の上昇がどの範囲に、どの程度まで波及していくかという点である。すでに川上のメーカーが相応の値上げを実施しているが、それが食料品のパッケージも含め、国民の暮らしや企業の調達・販売にどのような影響をもたらすかを見通すのは極めて困難である。

大きな悪影響が生じるリスクを想定せざるを得ない一方で、価格転嫁に負けることなく消費や投資が落ち込まずに維持され、堅調に推移する可能性も残されており、日本経済は現在その分岐点に位置している。市場ではすでに利上げが織り込まれていると言われており、植田日銀総裁の従来とは異なる発信も指摘されているが、筒井会長は、逆に利上げを行わなかった際のサプライズ的な市場の反応も含め、日銀が多様なシナリオを想定した上で適切な判断を下すことを期待している。

景気の先行き:足元の堅調さと秋以降に潜むスタグフレーションのリスク

日本の景気の先行きについて、現状は企業収益が非常に堅調であり、実質賃金も4カ月連続でプラスで推移するなど、景気拡大局面が続いている。2025年度の段階では、中東情勢緊迫化の影響はまだ本格的に出ていないと認識されている。

しかし、今後の景気を左右する背景として、インフレの動向が懸念材料として挙げられる。企業の原材料調達や、国民生活に欠かせない日用品・食料品などにインフレがどの程度及んでいくかが最大の焦点である。ここで経済界が強く見据えておくべきなのが、スタグフレーション(物価が上昇しているにもかかわらず、経済が停滞する現象)のリスクである。筒井会長は具体的に、インフレによる価格上昇が需要の低迷を招き、それに伴い企業が雇用面で防衛的な対応を取らざるを得なくなる事態を、このリスクの中身として想定している。

今後の予測として、筒井会長は、現在潜んでいるこれらのリスクが顕在化するとすれば、秋以降になるのではないかと分析している。賃金引き上げの動きにも今後は少し不透明感が高まることが予想される中、7月から8月にかけての動きが、秋以降のトレンドを予測する上で極めて重要な試金石となるだろう。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。