中国 「人民が武器を手に取る日、悪夢は終わる」

ダム放流が引き起こす洪水で 養殖の鶏 2万羽溺死=中国

2024/06/26
更新: 2024/06/26

中国湖北省咸寧市の養殖場で、鶏2万羽が溺死した。原因は、現地の複数のダムが同時に放流を行ったことで引き起こされた洪水だ。

水に浸かってプカプカと浮かぶ大量の鶏の死骸を捉えた映像はネットでも拡散され、見る人の心を締め付ける。

大損害を被った養殖場の主人の廖さんは、中国メディアに対し、「雨で増水したため、上流の複数のダムが同時に放流を行った。その結果、こちらはわずか10分で約1メートルもの水が襲ってきた」

「なんとか1千羽ほどの鶏は救助できたが、2万羽は溺死した。鶏は販売する目的で飼育していたが、保険に入っていなかったため、今回は餌代含めおよそ20万元(約440万円)の損失を被った」という。

水に浸かってプカプカと浮かぶ大量の鶏の死骸(SNSより)

 

この事態に対し、現地の村役人(咸寧市咸安区汀泗橋鎮古塘村の村委会村支書・姚文祥氏)は「ダムが満杯になったから、水が下流に流れただけで、ダムの放流は行っていない」と主張。

しかし、廖さんは、「飼っていた鶏が溺死した原因は地元の複数のダムが同時に放流を行ったことによって引き起こされた洪水だ」と反発する。

いっぽう、ネット上では、「人災だ。ダム放流するのならなぜもっと早く流域住民に知らせないのか?」といった非難が殺到。

なかには、「(中国の)ダムにはもはや洪水防止機能を持ち合わせていない。あるのは発電と養殖、水売りなどの儲ける機能しかない。事実がそれを証明した」といった声も広がっている。

このほか、「自分は広西省の人間だが、こっちも予告なしでダム放流が行われた、うちは大きな損失を被った」「私の地元のダムは2016年に予告もないまま放流した、私の家は30分で浸水した、後になって責任をとってくれる人もいない、当局にたらい回しされるだけ」など、ダム放流が予告なしに行われたことを非難する声も多く寄せられている。

(鶏養殖場の悲劇を自身のSNSで伝えた「于春飛」さん)

 

「ダムは国民にとっての悪夢」

23日、ツイッター(現X)ユーザー「于春飛」による文章が華人圏で共有され、共感を呼んでいる。

以下がその翻訳。

「洪水が起こるたびに中国共産党は自然災害だと言う。しかし、実際はどうか。中国は世界一多くのダムを有している、ダムはいずれも洪水予防や干ばつ救済の名目で建設されたものだが、その実際の働きは発電だ。共産党の利益団体によってコントロールされたこれらのダムは、洪水期になっても水を貯めている。(本来ならばら洪水期は流入量の一部をダムに貯留しながら少しずつ放流する)水を貯める理由は水がなければ儲からないからだ。万が一放流し過ぎて、水が減ったにも関わらず雨が降らなければ水が足りなくなり、発電をはじめ、いろんな商売に水を利用できなくなる。しかし、大雨が降ると、水位上昇で放流しないとダムが決壊してしまう、そうして流域住民には予告なしでこっそり放流をおこなう」

実際は住民に予告しない、あるいは直前になって予告をするのは、住民による反対や邪魔を避けるためとされている。過去にも、ダム放流が行われることを嗅ぎつけた住民が集団で放流させまいとダムを死守するという事態が起きた。

「そうして中国のダムはいまや国民にとっての悪夢となった!」

「洪水やダム放流の裏には、人民の血と涙、そして計り知れない損失がある。毎回そうだ。しかし、高みにいる権力者たちは、人民の苦痛と引き換えに、利益を得ている。ダムの手抜き工事から、予告なしの突然の放流、どれをとっても、これらのことは1つの事実を示している。それは、つまり、人民の生命や財産など、彼ら権力者の眼中にはないということ。本当の自然災害は避けられないが、このような人禍(災)は権力と腐敗がもたらした直接的な結果だ」

作者はさらに、次のように締めくくった。

「こんな政府、こんな体制だ。あとどれほどの人たちが犠牲になればいいというのか。このような状況下で、人民は誰を信頼すればいいのだろうか。おそらく、彼らが唯一頼れるのは、自分たちが武器を手に取ることだ」
 

洪水に見舞われた桂林の町、中国広西省桂林市、2024年6月(NTD新唐人テレビより)

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!