若者の約87%が平均12万元の負債を抱える中国 戦狼外交を一時停止に=専門家

2023/07/29
更新: 2023/07/29

秦剛前外相は、就任してからわずか半年後、1か月にわたり消息不明となり、その直後に解任され、多くの憶測を引き起こしている。当局は後任として、元の外相である王毅氏を充てる人事を決めた。

台湾財信媒体の謝金河董事長はFacebookで、この事件は中国共産党(中共)中央の内部闘争に関連しているが、習近平氏にとって最も頭痛の種は中国の経済問題だと指摘している。

謝氏によると、「先週の中共中央政治局会議で、経済を救うための 5つのポイントについて議論されている。

1つ目は中国の住宅問題、2つ目は地方債務、3つ目は消費問題、4つ目は雇用問題、そして5つ目は人民元安の問題。実際には、核心となる問題は1つで、「米中対立の中で、各企業の製造拠点が海外に移転されているため、中国の失業率が増え、不動産バブルが生じ、消費に影響が及び、さらに人民元安への圧力が生じること」だという。

中国の不動産業界のバブル危機は、恒大集団から、融創、世茂、碧桂園へと蔓延してきた。これらの不動産企業は、既に負債が資産を上回っており、圧力は銀行が受けることになる。結局、金融システムは多くの問題を抱えることになり、地方債務も深まる一方で、まるで癌細胞が拡散するかのように、最終的には全国の経済が崩れてしまう。

謝氏は、最も深刻な問題は若者の失業率が21.3%に達していることだと述べている。北京大学の張丹丹助教授は、「寝そべり族(過激な競争社会を忌避し、最低限の生活を送ることを志す)と称される1600万人の若者を加えると、若者の失業率は46.5%に達する」と指摘した。

これは驚愕の数字だ。中国には16~24歳までの人口が9600万人となっているが、そのうち4千万人以上が失業しているとしたら、それは非常に恐ろしい問題である。

さらに恐ろしいことに、Datagooが公表したデータによれば、中国の1990年代生まれの若者は1億7500万人おり、そのうち86.6%が負債に苦しんでいる。

「平均して1人あたり12万人民元(約180万円)の借金を抱えており、消費する能力がないというのが現状だ。これこそが最も重要な核心問題であると言えるだろう」と謝氏は語った。

もう一つ大きな課題は人口の高齢化だ。2035年までには、60歳以上の高齢者が4億人に達し、総人口の30%を占めることが予測されている。

2020年の高齢者扶養率は19.7%だったが、これが2035年には30%、2050年には50%に上昇すると見込まれている。さらに、2022年の中国人民銀行の金融統計報告は、中国の家計債務対収入比は既に124.4%に達しており、なお急速に増加している。

謝氏は現在、多くの地方政府はすでに破産寸前で、売却可能な土地もすべて売り尽くしており、状況はさらに難しくなると述べた。これから高齢化が加速すると、年金の問題が必ず起こり、財政圧力もさらに重くなることだろうと指摘している。

この数日間、中共中央は資本市場を活性化させる方針を打ち出し、株価を刺激しようとしている。25日には深セン、上海、香港の株価は刺激を受け上昇したが、根本的な問題は解決されていない。

謝氏は、現在の中国が最も必要としているのは、国民の負担を軽減し生活を安定させ、戦狼政策を一時停止し、内政に専念することだ。これからも全世界との対立を続けると、中国経済の危機はさらに深刻化するだろうと考えている。