中共の政治工作の実態 長尾敬前衆議院議員インタビュー(3)

2022/03/29
更新: 2022/07/02

長尾敬前衆議院議員インタビュー(2)から

ーーロシアによるウクライナ侵攻を受けて、日本国内では安全保障に対する関心が高まっている。核シェアリングの話も出ているが、先生のお考えは。

核シェアリングについてはすぐにでも議論を始めるべきだと思う。残念ながら、日本で核兵器の議論をすると世論に負担がかかっていくような雰囲気がある。福田赳夫内閣の時代から、非核三原則があったとしても、憲法九条によって核を保有できないことはないと答弁をしているため、議論を始めていくべきだと思う。

核は使うものではなく、持つもの。使ったらそこで終わりだ。では何のために持つのか、矛盾があるのではないかとの指摘があるかもしれない。

しかし核を持たなければ戦争になってしまう。戦争というのは各国が国益のためにするものだ。各国の間でバランスが保たれているときは、勝敗が分からないから戦争は起きない。しかし何らかの原因でバランスが崩れたとき、勝てると思った国によって侵略が起きる。

今回のウクライナ情勢ではアメリカは関わらないと明言してしまった。NATOも直接は関わらない。ウクライナはNATO構成国ではないという理屈だ。ドイツはロシアの言うことを聞くだろうと思われたが、結果的に苦渋の決断で西側についた。バランスが崩れると戦争になるから、このバランスを保つための最有力のものが、残念ながら核である。

私も核廃絶を唱えたい。しかし軍事バランスを保つためには残念ながら核が最有力であるという現実を飲み込まなければならない。日本だけが飲み込まない、もうそのような時代ではないと考える。

ーー日本のすぐそばの台湾では、中共軍機が防空識別圏に侵入するなど緊迫した状況が続いている。

あちら側は平気で今後もそのような行為を続けていくだろう。実際この時期にロシア艦隊が津軽海峡を通っているが、国際法違反ではないものの、挑発的だ。普通の国なら抗議するところだが、日本はそのように対応できない。

昨今のウクライナ情勢を鑑みれば、自衛のための装備しかもっていない国が大規模な侵略を受けていないのが不思議だ。在日米軍があるから、日米安全保障があるからギリギリバランスが保たれているということになる。しかし現状を見れば、バランスはもう崩れていると言える。

ーー中国共産党による工作と日本の防衛との関係性について。

技術力の面では関係がある。最先端技術はたいてい平和的利用と軍事的利用が可能だ。政府は留学生にも援助しているが、日本に入ってはいけない留学生まで入国させてどうするのかと私は思う。そのような部分をしっかり考えているのかと言われれば、やはりなかなか考えられていないのではないだろうか。

ーー中国の工作員からの接触はあったのか。

接触はなかったが、実は議員になる前は、小沢一郎氏の長城計画(編注:中国共産党中央対外連絡部が招く、日本民主党代表団の訪中使節団)で毎年中国に渡航し、将来の中国共産党の幹部になる者たちと交流をしていた。その際、中国共産党側から靖国神社について「首相の靖国参拝を賛同しているが、どういう意味か」などと聞かれた。私個人、そして日本を調べ上げている印象を受けた。

交流が終わりホテルに帰ると電話が掛かって来るが、絶対に出てはいけない。要はハニートラップだ。最初は電話が本当に掛かってきた。英語だったが。それも15年、16年前の話だ。

部屋のなかで電話をしてはいけないとも注意されていた。議員にまだなっていない私のようなクラスの人物に対しても、そのようなことが行われていた。そのため、私は議員就任後、一度も中国に行っていない。

だが様々なうわさは聞く。例えば、中国共産党の人民日報の月刊誌に2ページにわたって私が取り上げられたことがあった。記事のなかには、(日本の)政治家たるものは、日本の企業が中国に進出させるように後方支援すべきであり、企業が中国で上げた収益から献金をもらうべきだ、と書かれていた。

人民日報の編集長がわざわざ私にメッセージを送っているのだと感じた。なるほど、日本の政治家はそのようなことをされて今日に至っているのだと、私は率直に受け止めた。

ーー人民日報は中国共産党のプロパガンダ機関として知られている。

人民日報が私にそのように言ってくることから、過去に多くの政治家に同じことを言ってきたのだと推測できる。私のように「ノーサンキュー」という政治家もいるが、一緒になって悪いお金儲けをしている政治家もいるのではないかと普通に想像してしまう。

(つづく)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。
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