多湿の時季の食卓養生 味噌汁×鮭定食で「健脾・化湿」【薬膳一品】

湿気の多い時期には、多くの人が次のような不調を感じます。

・朝起きても体が重い
・胃腸が張ったようで食欲がわかない
・一日中だるく、やる気が出ない

中医学では、これを「湿邪(しつじゃ)が脾を困らせる(湿邪困脾)」といいます。

湿邪(しつじゃ)が脾を困らせる(湿邪困脾)(Shutterstock)

外の湿気が多く、その湿気が体内に入りやすい季節。最初に影響を受けるのが「脾胃(ひい)」です。

脾胃が弱ると、水分代謝(運化)の働きが低下し、さまざまな不調が現れます。

対策はとてもシンプル、食材を正しく選べば、ごく普通の家庭料理も最高の薬膳になります。

 

今日の主役:味噌汁 × 鮭定食

日本の家庭ではおなじみの献立です。一見すると普通の食事ですが、食材が持つ薬膳の知識を知れば、この一膳が多湿の時期にぴったりの「健脾・化湿」養生定食になります。

味噌汁|豆腐・わかめ・生姜

なぜ、この一杯が健脾・化湿に役立つのか?

味噌汁イメージ画像(Shutterstock)

味噌:発酵食品であり、脾胃を温めて消化を助けてくれます。また、湿気による食欲不振の改善にも役立ちます。多湿の季節に毎日一杯の温かい味噌汁を飲めば手軽な胃腸の養生法になります。

豆腐:熱を冷まし、潤いを補い、中気を養います。温性の味噌と組み合わせることで、寒熱のバランスがちょうど良くなります。

わかめ:余分なものをやわらげ、水分代謝を促し、むくみを改善します。体内にたまった余分な湿気や水分の排出を助けます。

生姜:梅雨や多湿の頃の養生には欠かせない食材です。胃腸を温め、冷えを散らし、体内の湿気を追い払います。

味噌汁に薄切りの生姜やおろし生姜を少し加えるだけで、除湿効果がさらに高まります。

ポイント:生姜は入れすぎる必要はありません。味噌汁が出来上がってから加えると、香りと効能をより生かすことができます。
 

鮭定食|鮭・漬物

なぜ鮭は多湿の季節におすすめなのか?

鮭料理イメージ画像
(Shutterstock)

鮭:脾を補い、胃腸を温める働きがあります。梅雨などで脾胃が弱りやすい時期には、鮭は体にやさしく栄養を補える代表的な食材です。良質なたんぱく質が代謝を支え、湿気による疲労感の回復にも役立ちます。

おすすめの調理法:塩焼きや醤油焼きがおすすめです。揚げ物は脾胃への負担が大きく、梅雨には特に控えたい調理法です。

漬物:発酵食品であり、腸内環境を整え、消化吸収を助けます。おすすめは、ぬか漬けと梅干しです。

梅干し:ほどよく体を温め、酸味によってうるおいを生み、消化を助ける食材です。中医学では、肝・脾・肺に関わるとされ、季節の変わり目の食養生にも取り入れやすい一品です。

ワンポイント:漬物は塩分が多いため、食べ過ぎず適量を心がけましょう。
 

この定食の薬膳の考え方

  • 食材   性味・帰経    主な効能
  • 味噌  温・鹹甘・脾胃腎  胃を温め消化を助ける
  • 豆腐  涼・甘・脾胃    中気を補い熱を冷ます
  • わかめ 寒・鹹・肝胃腎   利水・むくみ改善
  • 生姜  温・辛・肺脾胃   湿を追い払い胃を温める
  • 鮭   温・甘・脾胃    脾を補い体力を養う
  • 梅干し 温・酸・肝脾肺   消化を助け収れんする

全体の効果:健脾化湿・温中和胃・利水消腫
 

梅雨や多湿の頃の食事 3つのポイント

1.温かい料理を選び、生ものや冷たいものは控える

冷たい食べ物は脾胃を傷つけます。梅雨や多湿の頃はもともと胃腸への負担が大きいため、温かい料理のほうが消化吸収しやすくなります。

2.発酵食品を積極的に取り入れる

味噌、漬物、納豆などの発酵食品は、腸内環境を整え、脾胃の働きを高めます。

3.生姜をひと切れ加える

どんな料理でも、梅雨や多湿の頃には少量の生姜を加えるだけで、体内の湿気を追い払う助けになります。

薬膳は特別なものではありません。いつもの家庭料理も、食材の性質を少し知るだけで、毎日の体をいたわる養生の一膳になります。

情報やモノが溢れる現代において、「人生」をテーマに発信する文筆家。趣味は季節の野菜を使ったシンプルな手料理と、スマホを置いて自然に触れること。