英情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム(Ken McCallum)長官はこのほど、「中ロのスパイは首相の顧問や国会議員を標的にしている」と警鐘を鳴らした。
マッカラム長官は18日、英紙デイリー・メールのインタビューで、「中国とロシアは世界覇権を実現するために、包括的な競争を行っている。英議会に干渉し、英国民の考えを改変し、さらに企業や大学の情報と一般の英国民の個人情報を盗もうとしている」と述べた。
「これは第2次冷戦ではなく、われわれはすでに戦いの中にいる」
「われわれは、われわれの価値観やシステム、われわれと同盟国が大切にしている民主主義的な生き方のために立ち上がる必要がある」と長官は強調した。
長官によると、中国とロシアのスパイはジョンソン首相の顧問らに接近を試みている。
MI5は1月、中国系女性弁護士、李貞駒(英語名:Christine Ching Kui Lee)氏は、中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)と密かに「連携して活動しており」、政治家や議員らへ献金を通じて英国の政治に干渉していると、異例の警告を発していた。
長官はインタビューのなかで、今後、外国のスパイによる政治干渉をめぐって、国会議員に対する情報機関当局の警告はさらに増えるとの見方を示した。
また、同氏は中国とロシアは「リンクトイン(LinkedIn)や他のソーシャルメディアを利用して、一般の英国民に対して『大規模なオンライン育成』を行っている」と語った。
中ロは、英国の専門家、ビジネスマンらの活動を褒め、関連会議へ招待するなどして接触を図る。「それに興味を示す人は少ないが、それでも(中ロ側に)付いていく人がいる」という。
長官は、英国の現行法では外国のスパイを起訴できない現実を指摘した。米国と異なり、英国には、外国勢力の活動を抑えるための「外国代理人登録法(FARA)」は制定されていない。外国勢力のスパイ行為に関係する国内法は公務秘密法(Officials Secret Act)だけである。同法の下では、英政府の関係者が情報漏えいで起訴される可能性がある。しかし、外国のスパイに刑事上の責任を問うことはできない。
デイリー・メール紙によると、2021年5月、ジョンソン首相は敵対国家対策として、外国政府のために働く個人は英政府に登記を行わなければ刑事犯罪に当たるとする法案の導入を公約した。ただ、導入時期はまだわかっていない。
(翻訳編集・李凌)
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