英保守党のイアン・ダンカンスミス元党首は16日、中国共産党の工作員が英議会で影響工作を行なっていると英情報局保安部(MI5)が警戒を呼びかけたことについて、「氷山の一角」に過ぎないと述べた。英議会の破壊を試みる中国当局には、より厳しい姿勢を示すべきとの見解を示した。
英国内における情報収集活動を担うMI5は13日、英国籍を持つ中国系女性弁護士が、中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)と連携して議会に「政治的な介入」を行っていると異例の警告を発した。
ダンカンスミス氏は英国のテレビ番組「トレバー・フィリップス・オン・サンデー」に出演し、中国共産党が「英国の政治システムに侵入し、人々を誘惑し、破壊する試みは今に始まった事ではない」と主張した。「あまりにも多くの政府がそれを呼びかけることに慎重になりすぎている」とも述べた。
さらに独裁体制を強める中国共産党を「残忍」と表現し、「党の思惑通りになるよう自分たちへのあらゆる批判を阻止しようとしている」と批判した。また、民主的で説明責任を果たす欧米と「同等の扱いはできない」と述べ、対中強硬姿勢を取るべきだと主張した。
プリティ・パテル内相は、政治的な干渉活動に関与する外国工作員を起訴する法律を強化する必要性を強調し「現在では法的権限がない起訴も実施できるよう検討している」としている。
ダンカンスミス氏は2016年、日米欧などの議員らが中国共産党政権による人権侵害などを監視する「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)を設立。中国当局による新疆ウイグル自治区での人権侵害に批判的な姿勢を示したことで中国当局の制裁対象となった。
リンジー・ホイル英下院議長は18日、中国当局に英国議会議員への制裁解除を要請。「制裁を続ける限り、あらゆる選択は失敗に終わる」と中国を牽制した。
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